著者
布川 悠介 伊藤 史子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.589-564, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
6

「グラフィティ」とは街に描かれる落書きのことである。本研究ではグラフィティ分布と都市要素との関係を分析し、ライターの行動特性に関する示唆を得ることを目的としている。高円寺駅を中心とした半径600m以内のグラフィティ分布の調査を行って得られた地点と数、種類のグラフィティ属性データを用いて空間分析を行った。駅距離とグラフィティ密度の関係から非線形回帰分析により密度関数を導出した。ライター間の敵対的な「Communication」地点と不特定多数に見せつけるための「Exposure」グラフィティの各分布が商業地域、駅南の商業地域に集中していることをKolmogorov-Smirnov検定、二項検定により示している。グラフィティを描く目的に着目して行った空間分析の結果より、ライターの行動特性は都市要素と関係していることがわかった。特に駅からの距離、用途地域はグラフィティを描く場所を決定する上での大きな要因となっている。これらの分析によって導かれた結果はライターの行動特性を空間的に捉える一つの指標になると考えられる。