著者
布川 真記 古瀬 みどり
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_93-2_100, 2009

本研究の目的は,外来化学療法中のがん患者が,どのようにセルフケア行動を行い治療を継続しているのかを明らかにすることである。研究対象者は,外来化学療法を行っているstageⅢの消化器がん患者11名である。半構成的面接法による調査を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにて分析した。患者がセルフケア行動を取り治療を継続する過程には,治療に伴う身体変化の自覚,セルフケア行動,健康を判断できる条件,支援者,治療に対する満足感と"家族を守るために長生きしたい"があった。患者が取るセルフケア行動には,体重を自己管理の目安にする,日常生活の規則化,日常生活と治療の折り合いをつける,医師との有効な治療関係の維持があった。患者は,セルフケア行動を行うことによって自分自身の健康が判断できており,満足感を得ていた。そして,治療に対する満足感は,患者のセルフケア行動を後押ししていた。外来化学療法患者がセルフケア行動を取り治療を継続できるよう支援するためには,患者自身が健康を判断できるような指導と治療に対する満足感を高められるような外来サービスの提供が必要であると示唆された。