著者
寺下 貴美 中場 貴紀 布施 善弘 小笠原 克彦
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.811-817, 2004-06-20

診療用放射線の防護に関して,医療法施行規則の一部を改正する省令が関係告示とともに公布され,平成13年4月1日から施行された.さらに,国際放射線防護委員会(ICRP)1990年勧告の取り入れにより空気中,排気中,排水中の放射性同位元素の濃度限度が改められ,新濃度限度に対応した算定法が通知された.これらにより医療現場における放射性同位元素の使用実態に則したものとなったが,新法令への移行には煩雑で実務的な処理を伴っているのが現状である.当院では平成12年6月より医療情報システムの開発会社(ベンダー)に依らずに単独でWorld Wide Web(以下,WWW)を用いたシステム(以下, Webシステム)による患者情報システム,入院患者台帳システム,DICOM Imagingシステム,検査オーダ・エントリ・システムを開発し運用している.特に,検査オーダ・エントリ・システムではモダリティごとの検査依頼,照射録等の作成・管理などを運用している.法改正に伴い当院でも新濃度評価の下で記録簿様式の変更が必要となった.そこでわれわれは業務の簡素化を図るため,放射性医薬品の入荷・使用・在庫・調剤・廃棄・帳票等の管理を一括して行うことを目的としたシステムの開発を行った.今回,当院で運用しているWebシステムを拡張し,患者情報と検査内容のデータが共有できる放射性医薬品管理システムを構築したので報告する.