著者
髙田 朝 金髙 弘恭 布目 祥子 加藤 裕光 菊池 雅彦
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.242-250, 2017 (Released:2017-07-23)
参考文献数
45

目的:液槽光重合方式の3Dプリンターを利用した新しいロストワックス鋳造法の臨床的有用性を評価することを目的とし,鋳造体の寸法変化率および表面粗さを測定し,従来法との比較検討を行った.方法:原型サンプルは3Dプリンターを利用して2種の3Dプリンター用レジンで製作した.また,インレーワックスとパターン用レジンでも同形状の原型サンプルを製作した.鋳型の製作条件は,埋没材と加熱条件を組み合わせて6条件とした.鋳造体の寸法変化率は,円柱の直径を鋳造前後に測定して評価した.鋳造体の表面粗さは,鋳造体表面を表面粗さ計およびSEMを使用して定性的,定量的に評価した.結果:鋳造体の寸法変化率および表面粗さともに,3Dプリンターを利用した新しいロストワックス鋳造法による製作物は従来法のものと比較し,条件により大きな値をとることもあったものの,一定の条件下においては,同等の優れた値を示すことが確認された.結論:液槽光重合方式の3Dプリンターを利用した新しいロストワックス鋳造法は,適切な条件選択により,寸法変化率と表面粗さともに従来法とほぼ同等とすることが可能であり,臨床上有用であることが示唆された.