著者
常塚 宣男 本多 桂 竹内 一雄 中村 康孝 蒲田 敏文 清水 淳三
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.167-171, 1997
参考文献数
6
被引用文献数
2

止血困難な気道出血に対し, 高出力半導体(GaAlAs)レーザーを用いることにより止血し得た症例を経験したので報告する。症例は85歳男性, 食事中に突然新鮮血を吐き, 意識不明状態で救急車にて搬送された。二次救命処置後, 気管内挿管チューブから血性痰が吸引されたが, 緊急上部消化管内視鏡検査でDieulafoy潰瘍からの出血を認めたため吐血の誤嚥と考えられた。しかし胸部大動脈瘤の病歴, および血痰の持続から, 気道出血の可能性を考え気管支内視鏡検査を施行した。気管および左中間幹に出血源を認めたためエピネフリン散布, トロンビン散布, バルーンカテーテルによる圧迫を5日, 計10回にわたり試みたが止血は不十分であった。今回, この気道出血に対し, 高出力半導体(GaAlAs)レーザーシステム(DIOMED 25, OLYMPUS)を使用し, 経内視鏡的に止血に成功し得た。
著者
伊藤 祥隆 小田 誠 太田 安彦 呉 哲彦 常塚 宣男 渡邉 剛
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.119-121, 2001-03-15
被引用文献数
2 2

症例は16歳, 男性.既往歴として4歳児に漏斗胸に対して胸骨翻転術を施行され, 14歳時にMarfan症候群と診断された.1994年に右自然気胸に対し胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.1996年2月に右気胸を再発し保存的に加療したが, 同年4月に右気胸を再々発し, 小開胸下に肺部分切除術を施行した.1997年2月15日に左背部痛と呼吸困難が出現し, 当科を受診した.胸部レントゲン写真にて左自然気胸と診断した.胸腔ドレーンを留置して保存的に加療するも改善しないため, 2月20日胸腔鏡下手術を施行した.肺尖部にブラが多発しており, これを切除した.Marfan症候群は気胸の合併率が高く, 本例のように体格の成長に伴って気胸を繰り返し再発することもあり, 注意深い経過観察が必要と思われた.