著者
平井 俊次 山崎 喜美江
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.24-30, 1984-02-15 (Released:2010-03-08)
参考文献数
11
被引用文献数
5 10

生柿(18品種),干し柿(7品種),アルコール脱渋柿および温湯脱渋柿の糖組成について,ガスクロマトグラフィーと薄層クロマトグラフィーを用いて検討したところ,次の結果が得られた。(1) 渋柿,甘柿ともにフルクトース,グルコース,シュークロースの3種の糖が検出され,そのうちシュークロス含量は品種,熟度などにより大きく変動した。また,マンニットなどは両者とも検出されなかった。(2) 渋柿は熟度が進むと,シュークロースがほとんど検出されなくなるが,甘柿は過熟になっても,完全に消失することはなかった。(3) 渋柿,甘柿ともに過熟果に比べて,適熟果の方がグルコース/フルクトースの比が高かった。(4) 干し柿の果肉の糖は,フルクトース:グルコース=40:60位で,これが果表面に滲み出て干し柿表面の糖を形成し,そのうちグルコースが結晶化し,白粉となり,フルクトースは白粉の形成にあずからないものと思われた。(5) 干し柿の糖組成は,品種や粉出し,硫黄燻蒸工程などの違いによって大きな差は認められなかった。(6) 甘柿,渋柿などの甘味度は,糖含量の他にシュークロースの転化率も影響しているものと思われた。