著者
深町 千晴 阿部 和可 渡辺 篤二
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.16-19, 1962-02-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
3

数種の豆腐用脱脂大豆について豆腐原料としての適性試験を行ない,その特性を調べた。(1) 試験した脱脂大豆の多くは,普通豆腐がつくり易く,またできた豆腐は保水性に富んでいる。(2) 丸大豆で作った豆腐に比較すると,色,味などが劣るので,使用に際してはこの点を考慮に入れる必要がある。(3) 豆乳全体を袋の中で凝固させる袋入豆腐の原料としては豆腐の味,色,堅さなどの点からみて好ましくない。
著者
中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.142-146, 1978-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10
被引用文献数
5 13 3

焙煎によるコーヒー豆の有機酸とpHの変化を検討した結果。(1) コーヒーの有機酸のブチルエステルをガスクロマトグラフィーで分析して,ギ酸,酢酸,乳酸,グライコール酸,レヴリン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,リンゴ酸およびクエン酸を同定した。(2) 焙煎により有機酸はそれぞれ変動するが,特にギ酸と酢酸の増減が著しい。(3) 焙煎中,遊離酸量はメディアムで最高となった後減少し,pHもこれに応じて変動するが,総酸量はほとんど最後まで増加を続ける。(4) メディアム以降,かなりの量の有機酸が黒褐色多孔性のコーヒー豆組織に吸着される。
著者
内藤 茂三 岡田 安司 酒井 達也
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.788-793, 1987-12-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
5 12

オゾンを食品保存に利用することを目的に穀類,穀粉,豆類及び香辛料に対するオゾンの殺菌作用を,オゾン濃度0.5~50ppm,処理温度5~55℃,処理時間1~6間,流速100l/分の条件で検討した.得られた結果は次のとおりである.(1)穀粉はオゾン濃度の増加とともに殺菌効率は高まったが,穀類,豆類及び香辛料で最大の殺菌効率を示した玄そば(国内産),ブラックマッペ,ブラックペパーはオゾン濃度5.0ppm処理でほぼ一定となった.(2)そば及びそば加工品(いずれも国内産)のオゾン処理を形態別に行った結果,玄そば,粗びきそば粉,そば粉と形態が変化するに伴いその殺菌効率は低下した.(3)香辛料の中ではブラックペパーは処理温度に関係なく殺菌効率は一定であり,またクローブは処理温度の上昇に伴い殺菌効率が高まった.その他の香辛料はいずれも低温ほど殺菌効率が高まった.(4)穀類,豆類の中で最大の殺菌効率を示した玄そば(国内産),ブラックマッペはそれぞれ2時間,3時間処理で最大となり以後処理時間を延長しても殺菌効率は高まらなかったが,穀粉,香辛料の中で最大の殺菌効率を示したそば粉(ブラジル産),ブラックペパーはいずれも処理時間の延長に伴い殺菌効率は著しく高まった.
著者
古泉 快夫 佐藤 正子 武 桓子 大塚 一止
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.545-547, 1967-12-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
6

電子レンジによる食品類の殺菌効果を試験し,つぎのような結果を得た。(1) 純水50mlについて電子レンジ照射による水分蒸発量は加熱時間にほぼ比例し,180秒間で約半量蒸発した。(2) 電子レンジ内部の温度上昇率は中央部がもっとも速く各部均等に上昇しない。(3) 既知微生物は20秒間照射で完全に死滅する。(4) 一般食品類の微生物は20秒前後の照射で完全に殺菌され,味・外観ともにほとんど変化しない。(5) 無処理の食品類は冷蔵庫で6日間保存中にその微生物はやや増加の傾向が見られるが,電子レンジで処理した食品類は6日間保存で微生物の増加は全然認められなかった。
著者
山口 直彦 山田 篤美
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.303-308, 1981-06-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
11
被引用文献数
5 2

11種類の糖及び16種類の蔗糖の抗酸化力を測定し,次のような結果を得た。(1) 11種類の糖類について抗酸化力を測定した結果,五炭糖,六炭糖は酸化を促進し,また,それらの二糖類はリノール酸の酸化安定性にほとんど影響しないか,やや抗酸化的に作用する。一方,黒糖は著しい抗酸化的作用を示した。(2) 16種類の蔗糖のリノール酸の酸化安定性に及ぼす影響を試験した結果,グラニュ糖の抗酸化力はほとんど認められず対照区と同じか,やや酸化促進的な作用を示した。また,三温糖には顕著な酸化促進性が認められ,さらに黒糖は著しい抗酸化力を示した。三温糖の酸化促進性,また黒糖の抗酸化力は,これら蔗糖に含まれる微量成分(鉄,銅,アミノ態窒素,全窒素及び着色物質)のバランスの上に成立すると推論した。(3) 粗糖,グラニュ糖及び廃糖蜜の抗酸化力を測定した結果,グラニュ糖<粗糖<廃糖蜜の順であった。(4) 黒糖(L)の非透析物のDEAE-セルロースによる分画の結果,6つのピークに分別された。それら各ピークの抗酸化力を420nmの吸光値当りで比較した結果,ほとんど同じ程度の効力を示した。(5) 黒かりん糖(黒糖使用)は白かりん糖(上白糖使用)に比較して著しく安定であった。
著者
西成 勝好
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.61-68, 1987-01-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
41
被引用文献数
1
著者
野田 克彦 磯崎 さとみ 谷口 春雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.791-796, 1985-11-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
16
被引用文献数
2 3

大腸菌生育に対するスパイス類の影響を検討し以下の結果を得た(1) 大腸菌のコロニー形成に対してクローブ,タイム,セージの加熱抽出水溶液は抑制的に働き,ブラックペパー,ローズマリーの加熱抽出水溶液はわずかに抑制的であり,マスタードの加熱抽出水溶液には明確な効果はみられず,ガーリック,パセリの加熱抽出水溶液およびワサビ,シソ葉,ヒネショウガの搾汁加熱液は生育促進的に作用した。(2) タイムには菌生育阻害物質としてチモールが存在するが,それと共に生育促進因子の存在も示唆され,タンニン酸など還元性物質である可能性があった。(3) 市販ガーリック粉末は大腸菌生育に促進的に働いたが,生鮮ニンニクは高濃度では生育を抑制し,低濃度域では逆に生育を促進した。市販ガーリック粉末および低濃度ニンニク汁の生育促進効果はスコルジニンによるものとの結果を得た。(4) 生鮮ワサビ,シソ葉,ショウガ,および乾燥パセリなどに菌生育促進効果がみられたのはアスコルビン酸によるものと推測した。
著者
平田 明弘 王 逢周 木村 貞司 大武 由之
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.204-209, 1988-03-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
22

試験に用いた鶏は市販の白色レグホン種の産卵鶏で,市販の成鶏飼育用配合飼料で飼育した528日令の鶏である.鶏の可食部(胸筋,腿肉,肝臓,心臓および砂嚢)の重量は生体重の約1/3であった,調べた組織のなかで,肝臓が最も脂質含量が多く,胸筋は最も少なかった.鶏の脂質の主要な脂肪酸は,パルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸およびリノール酸であった.鶏の総脂質では多価不飽和脂肪酸含量が比較的多かった.鶏体組織の中性脂質画分では多価不飽和脂肪酸は少ないが,オレイン酸とリノール酸含量が多かった.中性脂質画分とリン脂質画分との顕著な差異は,リン脂質画分が中性脂質画分に比べて,ステアリン酸とアラキドン酸が多く,オレイン酸が少なく,また多価不飽和脂肪酸を多量に含むことであった-このような事実は'廃鶏の体組織が,酸化的酸敗に対して,おおむね敏感なことを示唆している.
著者
高野 克己 鴨居 郁三 小原 哲二郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.310-315, 1986-05-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
31
被引用文献数
8

米糠中の脂質分解機構に関する基礎的知見を得るため,米糠の貯蔵試験を行い,各脂質成分の変化ならびに脂質分解酵素の存在について検討した.1. 米糠100g中にトリアシルグリセロール約11.5m mol,糖脂質(グルコースとして)約0.85m molおよびリン脂質(リンとして)約0.7m mol含有されていた.2. 米糠貯蔵中における各脂質成分の変化を詳細に知るため,米糠を31℃で貯蔵し,経時的にその変化を調べた.その結果,各脂質の分解速度はリン脂質>トリアシルグリセロール>糖脂質の順であり,トリアシルグリセロールの分解に先立ちリン脂質の分解が起こっていることが認められた.3. 米糠を貯蔵すると,まずリン脂質の分解が起こるので,米糠中の主要リン脂質であるホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジン酸およびリゾホスファチジルコリンの経時的変化について検討した結果,ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルイノシトールは貯蔵初期に急速な減少を示したが,ホスファチジン酸およびリゾホスファチジルコリンの分解はやや緩慢であった.4. 米糠中の主要糖脂質であるトリグリコシルジグリセリド,ジグリコシルジグリセリド,モノグリコシルジグリセリド,アシルステリルグリコシドおよびステリルグリコシドの貯蔵中における経時的変化について調べたところ,各成分共にリン脂質成分に比べ,初期における分解速度は小さかった.5. 米糠の脂質分解酵素活性について検討したところ,米糠中に初めてホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDの存在を認めた.また,米糠100g中にはリパーゼ34 Unit,ホスホリピトアシルヒドロラーゼ8 Unit,ホスホリパーゼC 12 UnitおよびホスホリパーゼD 13Unitが存在し,その活性比は100:24:35:39であった.6. 米糠貯蔵中における各脂質分解酵素活性の変化について調べた結果,リパーゼ,ホスホリピドアシルヒドロラーゼ,ホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDは貯蔵60日目でも約30~60%の活性が残存し,これら酵素は米糠中において比較的安定であった.
著者
高野 博幸 青木 章平 梅田 圭司 佐藤 友太郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.273-279, 1974-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1

“札幌黄”の最適照射期間の延長と,照射タマネギの貯蔵中の内芽の褐変防止について検討した。(1) 収穫したタマネギは約2週間の乾燥後照射処理を行なうのが普通である。しかし,この乾燥前または乾燥途中に照射しても,その後設定の乾燥を行なったのち貯蔵するなら,発芽抑制効果および貯蔵後の品質は常法で処理したものと差はない。(2) 収穫後常温貯蔵しておき,2カ月以上経過したものは放射線による発芽抑制効果は低下し,3カ月以上経過するとまったく効果は認められなくなる。これは内芽の伸長度と関達しており,内芽の伸長が2~3cmまでなら発芽抑制効果はあるが,それ以上になると効果は低下し,5~6cm以上になると照射によって発芽を抑えることが不可能になる。(3) 内芽の伸長は収穫後の低温貯蔵(3~5℃)によって抑制することができ,このような条件下では,収穫後3カ月までは3~7kradの照射で十分その後の発芽を抑制することができる。つまり照射前の低温貯蔵で,放射線処理の操業期間を少なくても3カ月以上に延長させることができる。(4) 照射タマネギの唯一の欠点は,実用的には問題ないとはいえ貯蔵中に内芽が枯死し褐変することである,内芽の褐変化を防止するには3~5℃の低温貯蔵をすることで,少なくとも8カ月は変色しない,またこのものを出庫しても常温で1カ月ぐらいの流通期間ならば,内芽には何ら変化はなく,商品価値を維持できる。
著者
川嶋 浩二 田中 芳一 梅田 圭司
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.592-596, 1974-12-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
8

(1) 市販プロテアーゼ製剤9種に,殺菌線量(0.75~1Mradで芽胞菌を103~104減少させる)の放射線照射(氷水中,線量率約0.9~0.95Mrad/hr)を行なった。その結果酵素の保持活性は,もとの95%以上のもの7種,約93%のもの,および約80%のもの各1種であった。この結果,プロテアーゼ製剤の放射線殺菌は十分可能であると考えられた。(2) 照射時の酵素の水分量が,酵素の放射線感受性に影響することはなかった。(3) 数種のプロテアーゼで放射線照射により,最高4~60%の活性増加が見られた。その時の線量はいずれも250Krad付近にあった。(4) 照射酵素の熱安定性は未照射のものと差はなかった。(5) 照射酵素で5℃に2ヵ月間貯蔵中に酵素活性のやや回復するものがみられた。
著者
畑江 敬子 脇田 美佳 宮後 恵美 佐藤 由紀 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.755-762, 1994-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

嗜好性の高い昆布だし汁を調製するための基礎的知見を得るために,だしの成分量と抽出時間(1~90分間)および抽出温度(5~95℃)との関係を調べた.各温度における各成分の抽出量(Y)は,抽出時間(X)の関数としてうまく示された.すなわち,ここでa値は,抽出初期段階における傾斜で, b値は,漸近値すなわち最大抽出量である.各成分についてa値を各抽出温度に対してプロットし,みかけの活性化エネルギーを計算した.同様に,各成分について, b値のみかけの活性化エネルギーを求めた.これらの活性化エネルギーを比較することによって,各成分の抽出における温度依存性を知ることができる.抽出初期の温度依存性は,マンニット,全エキス,K+, Cl-,および全窒素に高かった.最大溶出量の温度依存性の高い成分はCa2+,グルタミン酸, Mg2+, P5+お上アド全エキスであった.
著者
小日山 正剛 兼松 弘 新谷 勲
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.596-600, 1992-07-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

カカオ豆及びカカオ豆を主成分とする食品中のニッケル,鉄,銅,鉛及びヒ素などの重金属含量がどのように異なるかを調べた.試料にはカカオ豆26試料,カカオマス14試料,カカオ脂10試料,市販のチョコレート14試料(ブラック9,ホワイト5)及び粉末ココア4試料を用いた.また,参考試料としてシアナッツ5試料,ボルネオナッツ3試料及びコーヒー豆6試料についても分析した.(1) ニッケル含量はカカオ豆で平均5.12ppm,その胚乳部に相当するカカオマスでも平均4.81ppmとほとんど差がなかった.しかし分離脂肪のカカオ脂にはニッケルは0.13 ppmしか存在しなかった.鉄,銅の含量もカカオ豆(x: 112.4, 24.7ppm)とカカオマス(x: 82.5, 26.7ppm)の間ではほとんど差を示さないが,カカオ脂(x: 0.30, 0.04ppm)では著しく低かった.(2) 市販のカカオ加工食品では,ニッケル含量はブラックチョコートで平均1.09ppmとかなり高いが,ホワイトタイプでは主原料のカカオ脂と同様に微量にすぎなかった.これに対し,粉末ココアでは平均12.7ppmのニッケルが検出され,カカオマスよりさらに高いことを示した.この傾向は鉄及び銅の含量でも同様であり,ブラック,ホワイトチョコレート及び粉末ココアからそれぞれ平均24.4, 0.82及び362.5ppmの鉄及び5.36, 0.16及び43.9ppmの銅が検出された.(3) 参考試料としたハードバターの原料となるシアナッツ及びボルネオナッツからは,それぞれ平均0.58及び0.45ppmのニッケル, 85.4及び137.1ppmの鉄と0.72及び10.8ppmの銅を検出した.また,コーヒー豆からは平均0.55ppmのニッケル, 67.0ppmの鉄及び13.3ppmの銅を検出し,これを風味原料として使用するファットスプレッドではこれらの重金属の給源となり得ることが示された.なお,鉛はシアナッツ,ボルネオナッツ及びコーヒー豆の一部試料から0.1~0.3ppmの微量が検出されたにすぎず,ヒ素は全試料から検出されなかった.
著者
山野 善正 仲原 貴生 三木 英三 合谷 祥一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.1033-1037, 1991-11-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

包丁と超音波カッターで切断した測定試料について,切断方法の違いによる試料への影響を,クリープメーターを用いて粘弾性を測定し,写真機及び電子顕微鏡により観察したところ,次の結果が得られた.(1) カステラ,チーズでは,超音波カッターと包丁の切断方法の違いにより,瞬間弾性,遅延弾性,遅延粘性,定常粘性に差が認められた.特にカステラでは,その差が大きく,スポンジ状食品では,超音波カッターは非常に有用であると考えられる.(2) かまぼこでは,超音波カッターと包丁での切断方法の違いによる,明確な差は認められなかった.(3) カステラ,キュウリの切断表面の電子顕微鏡観察では,超音波カッターと包丁の切断方法の違いにより表面の凹凸に差が認められた.しかし,チーズ及びかまぼこでは,切断方法の違いによる,表面の凹凸の差は認められなかった.
著者
諏訪 信行 久保田 春美 高橋 和子 町田 肇
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.44-51, 1986-01-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
17
被引用文献数
12 20

耐熱性の高い高温性有芽胞細菌Cl, thermoaceticum, B. stearothermophilus, Cl. thermosaccharolyticumの芽胞を接種した代表的なレトルト殺菌タンパク飲料であるミルクコーヒーの変敗に対する食品乳化剤の添加効果を検討した.(1) F0 20~30という通常のミルクコーヒー缶詰の殺菌条件では,ショ糖脂肪酸エステルP-1670, S-1670を500ppm添加することによりミルクコーヒーの変敗を防止できることが判明した.また,500ppm以上添加することにより,加熱殺菌条件を緩和できることが示された.(2) ショ糖脂肪酸エステルの中では,ステアリン酸モノエステルS-1670よりもパルミチン酸モノエステルP-1670は約2倍の変敗防止効果を有することが認められた.(3) ポリナキシエチレンソルビタンモノパルミテート,ポリグリセリンモノパルミテート,グリセリンモノパルミテートのミルクコーヒー変敗防止効果は殆ど認められなかった.
著者
上田 成子 桑原 祥浩 平位 信子 佐々木 弘子 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.507-514, 1991-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3 12

食用植物類101種107検体とキノコ類60種の計167検体のTry-P-1に対する抗変異原活性をSal. typhimurium TA 98株を用いて検討した結果以下の成績がえられた.1. 試験した試料のうちTry-P-1に対して強い抗変異原活性を示したものはレモンバーム,タイム,フキノトウ,モミジガサ,オレガノ,ツクシ,シロザ,ギョウジャニンニクおよびエストラゴンの9種であった.2. 食用植物類の科別分類では,キク科,シソ科,アブラナ科,セリ科植物に抗変異原活性がみられるものが多かった.また,香辛野菜類については,試験した全てが抗変異原活性を有していた.キノコ類については,45%の試料で抗変異原性がみられたが,野菜類に比してその活性は弱いものであった.
著者
五島 義昭 青山 英樹 西沢 健治 柘植 治人
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.147-153, 1988-03-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
17

PC粒の形態,主成分である澱粉の性質,および大気条件下で, 160~200℃に加熱した時の膨化機構等,以下の事項についてDC, WCと比較検討した. i)コーン粒のいくっかの種類より単離した澱粉粒子の比較, ii)粒構造の特性, iii)加熱中の膨化における粒の走査電子顕微鏡による観察. (1) PCより単離した澱粉粒子の性質は,アミロース含量が, DCのものより高いものの(約3%),糊化特性や糊化温度において, DCと類似した値を示した. PC種の特徴はむしろ穀粒の特異な構造にあると考えられた. (2) 膨化中のPC粒の走査電子顕微鏡による観察から,角質胚乳における澱粉は, 160℃以上で糊化し,空気の膨張によるはちの巣状の構造をつくることが明らかとなった.膨化した生成物において,膜のような薄いフィルムは,糊化,焼結した澱粉によりっくられた. (3) 膨化するコーン粒において,澱粉粒子は130~170℃の範囲で糊化し,糊化の程度は65~75%であった,PCの調製において,本質的に重要なことは,加熱中に内部蒸気圧に十分耐えることを可能とする外皮の性質にある.
著者
森 健 村岡 信雄 蔀 花雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.187-192, 1967-05-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

シリカゲルカラムによる溶出分析法を用いて,リンゴ,洋ナシ,モモ,ウメ,ミカン,ブドウ,サクランボ,イチゴ,メロンの9果実20品種の有機酸組成および各酸の含量を検討した。以上の果実からシリカゲルクロマトグラム上に18個のピークからなる有機酸の存在が認められた。果実別にみると,リンゴには11~14個のピークからなる有機酸パターンが得られた。同様に洋ナシは12個,モモは12~14個,ウメは12~13個,ミカンは13個,ブドウは13~16個,サクランボは14個,イチゴは14個,メロンは13個のピークからなる有機酸パターンが得られた。主要酸構成をみると,リンゴ酸のみを主要酸とするものはリンゴとサクランボであり,クエン酸のみを主要酸とするものはメロンであった。ウメはクエン酸がもっとも多いが,リンゴ酸もかなり含み,ミカンとイチゴもクエン酸がもっとも多いが少量のリンゴ酸をともなっている。洋ナシは品種により主要酸構成がかなり異なり,バートレットがクエン酸を主要酸とし,ついでリンゴ酸もかなり含むのに対し,ラフランスではリンゴ酸のみを主要酸とし,クエン酸はほとんど認められなかった。モモはリンゴ酸がもっとも多くクエン酸がこれにつぐが,両酸の含量は品種によりかなりの差が認められた。ブドウはリンゴ酸と酒石酸を主要酸とし,ローズシオターと植原1号ではこの両酸の割合が約2対1でリンゴ酸のほうが多いが,ヤマブドウでは酒石酸のほうがやや多く認められた。