著者
野田 克彦 磯崎 さとみ 谷口 春雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.791-796, 1985-11-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
16
被引用文献数
1 3

大腸菌生育に対するスパイス類の影響を検討し以下の結果を得た(1) 大腸菌のコロニー形成に対してクローブ,タイム,セージの加熱抽出水溶液は抑制的に働き,ブラックペパー,ローズマリーの加熱抽出水溶液はわずかに抑制的であり,マスタードの加熱抽出水溶液には明確な効果はみられず,ガーリック,パセリの加熱抽出水溶液およびワサビ,シソ葉,ヒネショウガの搾汁加熱液は生育促進的に作用した。(2) タイムには菌生育阻害物質としてチモールが存在するが,それと共に生育促進因子の存在も示唆され,タンニン酸など還元性物質である可能性があった。(3) 市販ガーリック粉末は大腸菌生育に促進的に働いたが,生鮮ニンニクは高濃度では生育を抑制し,低濃度域では逆に生育を促進した。市販ガーリック粉末および低濃度ニンニク汁の生育促進効果はスコルジニンによるものとの結果を得た。(4) 生鮮ワサビ,シソ葉,ショウガ,および乾燥パセリなどに菌生育促進効果がみられたのはアスコルビン酸によるものと推測した。
著者
高野 克己 鴨居 郁三 小原 哲二郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.310-315, 1986-05-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
31
被引用文献数
4

米糠中の脂質分解機構に関する基礎的知見を得るため,米糠の貯蔵試験を行い,各脂質成分の変化ならびに脂質分解酵素の存在について検討した.1. 米糠100g中にトリアシルグリセロール約11.5m mol,糖脂質(グルコースとして)約0.85m molおよびリン脂質(リンとして)約0.7m mol含有されていた.2. 米糠貯蔵中における各脂質成分の変化を詳細に知るため,米糠を31℃で貯蔵し,経時的にその変化を調べた.その結果,各脂質の分解速度はリン脂質>トリアシルグリセロール>糖脂質の順であり,トリアシルグリセロールの分解に先立ちリン脂質の分解が起こっていることが認められた.3. 米糠を貯蔵すると,まずリン脂質の分解が起こるので,米糠中の主要リン脂質であるホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジン酸およびリゾホスファチジルコリンの経時的変化について検討した結果,ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルイノシトールは貯蔵初期に急速な減少を示したが,ホスファチジン酸およびリゾホスファチジルコリンの分解はやや緩慢であった.4. 米糠中の主要糖脂質であるトリグリコシルジグリセリド,ジグリコシルジグリセリド,モノグリコシルジグリセリド,アシルステリルグリコシドおよびステリルグリコシドの貯蔵中における経時的変化について調べたところ,各成分共にリン脂質成分に比べ,初期における分解速度は小さかった.5. 米糠の脂質分解酵素活性について検討したところ,米糠中に初めてホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDの存在を認めた.また,米糠100g中にはリパーゼ34 Unit,ホスホリピトアシルヒドロラーゼ8 Unit,ホスホリパーゼC 12 UnitおよびホスホリパーゼD 13Unitが存在し,その活性比は100:24:35:39であった.6. 米糠貯蔵中における各脂質分解酵素活性の変化について調べた結果,リパーゼ,ホスホリピドアシルヒドロラーゼ,ホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDは貯蔵60日目でも約30~60%の活性が残存し,これら酵素は米糠中において比較的安定であった.
著者
山野 善正 仲原 貴生 三木 英三 合谷 祥一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.1033-1037, 1991-11-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

包丁と超音波カッターで切断した測定試料について,切断方法の違いによる試料への影響を,クリープメーターを用いて粘弾性を測定し,写真機及び電子顕微鏡により観察したところ,次の結果が得られた.(1) カステラ,チーズでは,超音波カッターと包丁の切断方法の違いにより,瞬間弾性,遅延弾性,遅延粘性,定常粘性に差が認められた.特にカステラでは,その差が大きく,スポンジ状食品では,超音波カッターは非常に有用であると考えられる.(2) かまぼこでは,超音波カッターと包丁での切断方法の違いによる,明確な差は認められなかった.(3) カステラ,キュウリの切断表面の電子顕微鏡観察では,超音波カッターと包丁の切断方法の違いにより表面の凹凸に差が認められた.しかし,チーズ及びかまぼこでは,切断方法の違いによる,表面の凹凸の差は認められなかった.
著者
古泉 快夫 佐藤 正子 武 桓子 大塚 一止
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.545-547, 1967-12-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
6

電子レンジによる食品類の殺菌効果を試験し,つぎのような結果を得た。(1) 純水50mlについて電子レンジ照射による水分蒸発量は加熱時間にほぼ比例し,180秒間で約半量蒸発した。(2) 電子レンジ内部の温度上昇率は中央部がもっとも速く各部均等に上昇しない。(3) 既知微生物は20秒間照射で完全に死滅する。(4) 一般食品類の微生物は20秒前後の照射で完全に殺菌され,味・外観ともにほとんど変化しない。(5) 無処理の食品類は冷蔵庫で6日間保存中にその微生物はやや増加の傾向が見られるが,電子レンジで処理した食品類は6日間保存で微生物の増加は全然認められなかった。
著者
上田 成子 桑原 祥浩 平位 信子 佐々木 弘子 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.507-514, 1991-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3 12

食用植物類101種107検体とキノコ類60種の計167検体のTry-P-1に対する抗変異原活性をSal. typhimurium TA 98株を用いて検討した結果以下の成績がえられた.1. 試験した試料のうちTry-P-1に対して強い抗変異原活性を示したものはレモンバーム,タイム,フキノトウ,モミジガサ,オレガノ,ツクシ,シロザ,ギョウジャニンニクおよびエストラゴンの9種であった.2. 食用植物類の科別分類では,キク科,シソ科,アブラナ科,セリ科植物に抗変異原活性がみられるものが多かった.また,香辛野菜類については,試験した全てが抗変異原活性を有していた.キノコ類については,45%の試料で抗変異原性がみられたが,野菜類に比してその活性は弱いものであった.
著者
中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.142-146, 1978-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1 11 3

焙煎によるコーヒー豆の有機酸とpHの変化を検討した結果。(1) コーヒーの有機酸のブチルエステルをガスクロマトグラフィーで分析して,ギ酸,酢酸,乳酸,グライコール酸,レヴリン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,リンゴ酸およびクエン酸を同定した。(2) 焙煎により有機酸はそれぞれ変動するが,特にギ酸と酢酸の増減が著しい。(3) 焙煎中,遊離酸量はメディアムで最高となった後減少し,pHもこれに応じて変動するが,総酸量はほとんど最後まで増加を続ける。(4) メディアム以降,かなりの量の有機酸が黒褐色多孔性のコーヒー豆組織に吸着される。
著者
森 健 村岡 信雄 蔀 花雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.187-192, 1967-05-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

シリカゲルカラムによる溶出分析法を用いて,リンゴ,洋ナシ,モモ,ウメ,ミカン,ブドウ,サクランボ,イチゴ,メロンの9果実20品種の有機酸組成および各酸の含量を検討した。以上の果実からシリカゲルクロマトグラム上に18個のピークからなる有機酸の存在が認められた。果実別にみると,リンゴには11~14個のピークからなる有機酸パターンが得られた。同様に洋ナシは12個,モモは12~14個,ウメは12~13個,ミカンは13個,ブドウは13~16個,サクランボは14個,イチゴは14個,メロンは13個のピークからなる有機酸パターンが得られた。主要酸構成をみると,リンゴ酸のみを主要酸とするものはリンゴとサクランボであり,クエン酸のみを主要酸とするものはメロンであった。ウメはクエン酸がもっとも多いが,リンゴ酸もかなり含み,ミカンとイチゴもクエン酸がもっとも多いが少量のリンゴ酸をともなっている。洋ナシは品種により主要酸構成がかなり異なり,バートレットがクエン酸を主要酸とし,ついでリンゴ酸もかなり含むのに対し,ラフランスではリンゴ酸のみを主要酸とし,クエン酸はほとんど認められなかった。モモはリンゴ酸がもっとも多くクエン酸がこれにつぐが,両酸の含量は品種によりかなりの差が認められた。ブドウはリンゴ酸と酒石酸を主要酸とし,ローズシオターと植原1号ではこの両酸の割合が約2対1でリンゴ酸のほうが多いが,ヤマブドウでは酒石酸のほうがやや多く認められた。
著者
高坂 和久 小沢 総一郎 檀原 宏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.559-566, 1973

0.5Mrad照射後3日目までは,色沢の劣化はみられないが,咀しゃくないしのど越し時に,微かに照射臭が認められた。<BR>しかし,7日目ぐらいになると,照射ソーセージは退色を示し,色沢の劣化が認められた。一方,照射臭は薄くなり,よほど注意しないとわからない程度であった。<BR>この間,外観,肉質には全く変化がみられなかった。<BR>調理条件を変えた場合,嗜好性は,照射非照射間にわずかの差を生じたが,照射臭は湯煮処理(80℃5~7分)がもっとも識別を困難とし,冷時と油いためは,注意して比較すれば,識別ができる程度であった。<BR>以上の結果から,ウィンナーソーセージにγ線を0.5Mrad照射した場合,照射後2~3日目までは照射臭がわずかに残るが,嗜好性を根本的に変化させるほどではなく,調理条件によっては,さらに低減し得ることがわかった。
著者
鈴木 普 佐藤 匡
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.71-75, 1966

ロースハムの日本農林規格における採点基準の具体的数値を把握するため,都内のJAS認定工場33社より56点の製品を採取し,断面の形態に対して,断面の径,面積,周囲長などについて測定し,つぎのような平均数値を得た。<BR>(1) 断面の円形は,長径8.04±0.16cm,短径7.36±0.67cmで,短径が比較的変化するやや扁平な円が多い。また長径,短径の方向は,脂肪層や結着面とはとくに関係がなかった。<BR>(2) 断面積は47.96±2.01cmcm<SUP>2</SUP>,筋肉面積は30.29±1.72cmcm<SUP>2</SUP>,脂肪面積は17.56±1.37cmcm<SUP>2</SUP>で,脂肪面積の変異係数が25.51%で,筋肉面積の変異係数の20.50%よりも大きく,断面からみて製品は脂肪量のばらつきの大きいことがわかる。<BR>(3) 断面における筋肉面積の割合いは63.36±2.49%であり,ロースの芯の周囲をおおう脂肪層の厚さは0.670~1.070cmぐらいである。<BR>(4) 断面の形態より採取試料56点中,明らかに肩ロースのラックスハムと思われるものが17点もあるのは,切断部位が5-6胸椎間のものより,2-3胸椎間のものが多いためと思われる。<BR>(5) 脂肪が肉の表面をなめらかにおおっているのは,周囲長と,脂肪と筋肉の接触面の長さの比が0.987±0.113ぐらいで,比が1.833と大きいものは脂肪面積も45%と大きく,比が0.593と小さいものは,脂肪が筋肉中まで入って,結着を悪くする原因を作っているようである。
著者
野村 孝一 受田 浩之 松本 清 筬島 豊
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.916-919, 1985
被引用文献数
1 2

電導度検出型糖含量測定用フローインジェクション分析(FIA)装置の汎用化の一環として,リンゴ果汁およびビート汁中の糖含量測定,並びに牛乳の全固形分(TS)含量の測定を試みた。本FIA装置を用いた場合,各試料ごとに専用の算出式を用いることにより全く同一のFIA運転条件下で糖含量あるいはTS含量の測定が可能であった。本法により算出した糖含量は平均0.24%の偏差でフェノール硫酸法により求めた値と一致した。一方,TS含量の測定においてはAOAC法と平均0.19%の偏差で一致する値を与えた。
著者
吉田 博 藤本 水石 林 淳三
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.496-503, 1992
被引用文献数
1 1

ヤナギマツタケの栄養世代における栄養要求性を基礎培地を設定して静置培養法により検討した.<BR>(1) 本菌は広範な炭水化物を炭素源として利用できるが,その要求性は炭水化物の種類によりかなり相違していた.キシロース,グルコース,フルクトース,ラクトース,マルトース,デキストリン,グリコーゲン,ペクチン,可溶性デンプンは良好な炭素源であった.<BR>(2) 有機態窒素であるペプトン,ソイトン,酵母エキス,肉エキス,カザミノ酸は良好な窒素源であった.無機態窒素のうちアンモニウム態窒素は比較的良好な菌糸体生長を示したが,硝酸態窒素での生長は良好ではなかった,グリシン,アラニン,アスパラギン酸,グルタミン酸,セリンは良好な窒素源であり,これらのアミノ酸は単独で比較的良好な効果を示した.<BR>(3) 燐酸カリウムおよび硫酸マグネシウムは栄養生長に不可欠であり, 30mg/lの濃度で最大生長に達した.硫酸亜鉛も生長促進効果を示し,3mg/lの濃度で最大生長に達した.<BR>(4) チアミンは栄養生長に不可欠であり,30μg/lの濃度で最大生長に達した.しかし,チアミンの単独添加では栄養生長は不十分であり,他の8種のビタミン類(ニコチンアミド,リボフラビン,パントテン酸,ピリドキシン,葉酸,シアノコバラミン,ビオチン,イノシトール)の添加により栄養生長は促進された.<BR>(5) 核酸塩基類(アデニン,グアニン,シトシン,チミン,ウラシル,オロット酸)の添加により栄養生長は促進された.
著者
ジョセフィン アグレバンテ 松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.235-238, 1990
被引用文献数
2

6lの容器当り5mlの40%か60%のエタノールを噴霧すると, 20℃で貯蔵したカーベンディッシュバナナの追熟が1~3日間早められた.処理した果実の追熟が早ければ早い程,コントロールと比較してより低いデンプン含量と,より高い全糖,ショ糖,還元糖含量となった. α-アミラーゼ活性は, 40%と60%エタノール処理の果実で一般に高かった.酵素活性の増大は,デンプンの加水分解の開始より明らかに遅かった.
著者
五島 義昭 青山 英樹 西沢 健治 柘植 治人
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.147-153, 1988-03-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
17

PC粒の形態,主成分である澱粉の性質,および大気条件下で, 160~200℃に加熱した時の膨化機構等,以下の事項についてDC, WCと比較検討した. i)コーン粒のいくっかの種類より単離した澱粉粒子の比較, ii)粒構造の特性, iii)加熱中の膨化における粒の走査電子顕微鏡による観察. (1) PCより単離した澱粉粒子の性質は,アミロース含量が, DCのものより高いものの(約3%),糊化特性や糊化温度において, DCと類似した値を示した. PC種の特徴はむしろ穀粒の特異な構造にあると考えられた. (2) 膨化中のPC粒の走査電子顕微鏡による観察から,角質胚乳における澱粉は, 160℃以上で糊化し,空気の膨張によるはちの巣状の構造をつくることが明らかとなった.膨化した生成物において,膜のような薄いフィルムは,糊化,焼結した澱粉によりっくられた. (3) 膨化するコーン粒において,澱粉粒子は130~170℃の範囲で糊化し,糊化の程度は65~75%であった,PCの調製において,本質的に重要なことは,加熱中に内部蒸気圧に十分耐えることを可能とする外皮の性質にある.
著者
畑江 敬子 脇田 美佳 宮後 恵美 佐藤 由紀 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.755-762, 1994-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

嗜好性の高い昆布だし汁を調製するための基礎的知見を得るために,だしの成分量と抽出時間(1~90分間)および抽出温度(5~95℃)との関係を調べた.各温度における各成分の抽出量(Y)は,抽出時間(X)の関数としてうまく示された.すなわち,ここでa値は,抽出初期段階における傾斜で, b値は,漸近値すなわち最大抽出量である.各成分についてa値を各抽出温度に対してプロットし,みかけの活性化エネルギーを計算した.同様に,各成分について, b値のみかけの活性化エネルギーを求めた.これらの活性化エネルギーを比較することによって,各成分の抽出における温度依存性を知ることができる.抽出初期の温度依存性は,マンニット,全エキス,K+, Cl-,および全窒素に高かった.最大溶出量の温度依存性の高い成分はCa2+,グルタミン酸, Mg2+, P5+お上アド全エキスであった.
著者
小日山 正剛 兼松 弘 新谷 勲
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.596-600, 1992-07-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

カカオ豆及びカカオ豆を主成分とする食品中のニッケル,鉄,銅,鉛及びヒ素などの重金属含量がどのように異なるかを調べた.試料にはカカオ豆26試料,カカオマス14試料,カカオ脂10試料,市販のチョコレート14試料(ブラック9,ホワイト5)及び粉末ココア4試料を用いた.また,参考試料としてシアナッツ5試料,ボルネオナッツ3試料及びコーヒー豆6試料についても分析した.(1) ニッケル含量はカカオ豆で平均5.12ppm,その胚乳部に相当するカカオマスでも平均4.81ppmとほとんど差がなかった.しかし分離脂肪のカカオ脂にはニッケルは0.13 ppmしか存在しなかった.鉄,銅の含量もカカオ豆(x: 112.4, 24.7ppm)とカカオマス(x: 82.5, 26.7ppm)の間ではほとんど差を示さないが,カカオ脂(x: 0.30, 0.04ppm)では著しく低かった.(2) 市販のカカオ加工食品では,ニッケル含量はブラックチョコートで平均1.09ppmとかなり高いが,ホワイトタイプでは主原料のカカオ脂と同様に微量にすぎなかった.これに対し,粉末ココアでは平均12.7ppmのニッケルが検出され,カカオマスよりさらに高いことを示した.この傾向は鉄及び銅の含量でも同様であり,ブラック,ホワイトチョコレート及び粉末ココアからそれぞれ平均24.4, 0.82及び362.5ppmの鉄及び5.36, 0.16及び43.9ppmの銅が検出された.(3) 参考試料としたハードバターの原料となるシアナッツ及びボルネオナッツからは,それぞれ平均0.58及び0.45ppmのニッケル, 85.4及び137.1ppmの鉄と0.72及び10.8ppmの銅を検出した.また,コーヒー豆からは平均0.55ppmのニッケル, 67.0ppmの鉄及び13.3ppmの銅を検出し,これを風味原料として使用するファットスプレッドではこれらの重金属の給源となり得ることが示された.なお,鉛はシアナッツ,ボルネオナッツ及びコーヒー豆の一部試料から0.1~0.3ppmの微量が検出されたにすぎず,ヒ素は全試料から検出されなかった.
著者
蔡 平里 上田 博夫 辰巳 忠次
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.16, no.8, pp.346-349, 1969-08-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
20
被引用文献数
2

(1) とうがらしの辛味成分であるカプサイシンの酸部分である炭素数10のイソ脂肪酸に類似した酸を,天然に広く存在する鎖状モノテルペンより合成し,これとバニリルアミンからカプサイシン系辛味物質を合成し,天然のカプサイシン辛味成分混合体およびバニリルノナンアミドとその辛味を比較検討した。(2) 辛味についての官能審査の結果,NELSONの報告とはやや異なり,バニリルノナンアミドは,天然のカプサイシン辛味成分混合体に比べて辛く,バニリルジメチルオクタンアミドはさらに辛かった。(3) プラスターに添加した場合の皮ふに対する刺戟性では,バニリルジメチルオクタンアミドは,バニリルノナンアミドの約1/2であった。
著者
小泉 幸道 永島 俊夫 山田 正敏 柳田 藤治
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.316-322, 1986

市販調理済カレー25点の化学的成分分析に主成分分析を適用した.また,14点のカレーについて香味の官能試験を行ない,カレーの特徴を解析した.<BR>(1) 化学的成分分析においては,各成分の平均含量は,水分72.81%,タンパク質4.38%,脂肪8.84%,灰分1.90%,繊維1.64%,全糖9.63%,直糖0.75%,ショ糖1.88%,デンプン6.30%,過酸化物価2.77,チオバルビツール酸価0.61であった。各成分共,含量のバラツキが多かった.<BR>(2) 化学的成分分析の主成分分析では,第1主成分は炭水化物と水分の成分として,第2主成分は油脂の品質表示と甘味を表わす成分であった.<BR>(3) 香味の官能試験において,香りについては香辛料や肉の香りが強くない方が良く,色については明るい方が良く,褐色の強いものが悪かった.味については旨味があり,甘味と辛味のバランスがとれているものが良かった.評点法による香味の官能試験より,5つの特徴あるグループに大別された.