- 著者
-
鈴木 愛理
仁平 政人
平井 吾門
山田 史生
- 出版者
- 弘前大学教育学部
- 雑誌
- 弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
- 巻号頁・発行日
- no.114, pp.25-34, 2015-10
平成20年1月の中央教育審議会答申を受けた現行の学習指導要領では、小学校・中学校で養い、豊かにしてきた「思考力や想像力」を、高等学校では「伸ばし」、さらに「心情を豊かに」することが求められている。また関心を深める対象が「国語」(小学校・中学校)から「言語文化」(高等学校)となっており、文化としての言語に対して広くかつ深い関心をもつことが高等学校における目標となっている。しかし「学校教育」「教科書」という制度・制約のもとでは、その不可能性からいくつかの限界が考えられる。国語科で扱える「感性や情緒」、「ものの見方、感じ方、考え方」、「想像」、「心情」、「言語文化」には限度があり、広がりや深みは制限されてしまう。そこで、「教科書」に掲載することは教育的配慮により不可能と思われるが、感情の本質に迫る作品を示すことで教材発掘の一助としたい。今回は、「嫉妬」を描いた作品として、現代文からは江戸川乱歩「白昼夢」、古文からは『今昔物語集』より「美濃国紀遠助値女霊遂死語」、漢文からは『聊齋志異』より「姚安」を提出する。