著者
泉 貞有 上森 知彦 今村 寿宏 平塚 徳彦 加治 浩三 松延 知哉 河野 勤 鬼塚 俊宏 畑中 均 神宮司 誠也 岩本 幸英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.53-56, 2018-03-25 (Released:2018-05-21)
参考文献数
5

マッサージ後に発症した成人環軸椎回旋位固定(成人AARF)の1例を経験したので報告する.症例は37歳女性,喘息・アトピーの既往歴あり.初診時,後頚部痛を認めたが斜頚は存在せず,Xp・MRI精査するも有意な病変は無かった.初診後,整骨院で2日間,後頚部の愛護的マッサージを受けた.翌朝から斜頚を自覚し改善せず.2ヶ月後,斜頚を主訴に再診.Xp・CTにてFielding分類type 1のAARFを認めた.AARF以外は身体所見・臨床検査データ等も正常だった.入院後,頚椎持続介達牽引を施行.斜頚出現3ヶ月後,鎮静下に徒手整復を行った.オルソカラー固定するも1日で再脱臼した為,再整復しHalo vest固定を8週間施行した.現在,整復後2年が経過するもAARFの再発は認めない.成人AARFは非常に稀で,マッサージ後の発症例は報告がない.また,整復までに3ヶ月を要した慢性例であったが保存治療が可能であった.
著者
古庄 寛子 畑中 均 高﨑 実 平本 貴義 松延 知哉 泉 貞有 河野 勤 鬼塚 俊宏 今村 寿宏 平塚 徳彦 加治 浩三 神宮司 誠也
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.125-127, 2017-03-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
6

陳旧性volar instabilityは稀な病態であり,外傷性には掌側板損傷やMP関節脱臼後に十分な治療がされなかった結果生じるとされている.今回我々は,外傷により生じた陳旧性Volar instability症例に対して手術的に加療し,良好な成績を得たので報告する.症例:16歳女性.サッカー中に左母指を蹴られMP関節過伸展位となった.近医にて整復行い,副子固定された.2日後,再度左母指をぶつけて同様の処置をうけ,1週間後に当院紹介となった.初診時,MP関節腫脹はなく,掌側の圧痛をわずかに認める程度であった.伸展ストレスX線にて左右差なく,副子固定を継続した.経過中,自動伸展により一旦過伸展位になると,屈曲位に復する事が不能となったため手術加療を要すると判断した.術前可動域は,屈曲50°,伸展45°,Key pinch力2.5kg(健側7.0kg),DASH9.5点であった.受傷より3か月後に手術を施行した.Kessler(1979)は短母指伸筋腱を用いた手術を報告したが,今回我々は長掌筋腱(以後PL腱)を用いて手術を行った.術後経過は良好であり,術後1年時点で無症状であり,可動域は屈曲52°,伸展-22°,Key pinch力5.5kg(健側7.0kg),DASH1.7点であった.陳旧性volar instabilityに対する,PL腱を使用した手術は有効であったと考えられる.