著者
三好 裕司 平尾 行雄 石川 瑞子
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.182-185, 1990-12-15

喫煙と体重の関係を,対象者の年齢を考慮して分析した。若年者では喫煙量の多い群ほど肥満傾向を示し,50歳台の高年者では喫煙量の多い群ほどやせ傾向を示し,中年層では高度喫煙者の若干の肥満傾向が認められた。一般に加齢に伴う体重増加,所謂中年肥りが存在するが,この傾向は非喫煙者に最も甚だしく,喫煙量が増すに従ってその程度は小さくなっていた。そして,高度喫煙者では加齢に伴いやせている傾向がみられた。このことは,喫煙が体重増加抑制,または体重減少に働くことを意味し,高度喫煙による肥満効果については否定的であった。20歳台における高度喫煙者の肥満傾向は,喫煙開始者の体格上の特質であり,喫煙者の性格や日常生活習慣を反映したものと思われる。