著者
水谷 昌孝 峯元 雅樹 平尾 雅士
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-30, 1990
被引用文献数
3

シクロヘキサノン (以下アノンと略す) 含有ガスを対象とした溶剤回収装置においては, アノンの反応性が高いことおよび活性炭の持つ触媒作用により活性炭層で発熱や着火というトラブルが発生しやすい.そのため, 活性炭の着火に関する基礎実験を行い, 着火の可能性およびその防止法を検討した.この結果, 活性炭の着火の原因と考えられるアノンのCO<SUB>2</SUB>およびCOへ酸化分解反応に関し代表的活性炭について反応速度定数および活性化エネルギーを得た.また, 活性炭の着火を抑制するには, (1) アノン回収用として開発された半径1nm以上のボアに富み, アノンの分解作用の低い活性炭を使用すること, (2) プラント停止時は脱着を極力完全に行い, その際槽内をN<SUB>2</SUB>等の不活性ガスで置換すること, (3) 吸・脱着時における空気あるいは水蒸気流れの均一化を図り, 活性炭層内に温度分布および残留アノン量の極端な分布を生じさせないこと等が効果的であることがわかった.