著者
菊地 綾子 平本 秀二 堀 哲雄 吉岡 亮 長島 健悟
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.335-340, 2018 (Released:2018-12-07)
参考文献数
17

緩和ケア開始後の早期死亡に関する予測因子研究はあるが,入院時に長期の生存期間を予測するモデルや予測因子に関する報告はない.31日以上あるいは61日以上の長期入院に関連する予測因子解析を探索的に行った.また終末期症状(がん性疼痛,せん妄,悪心・嘔吐,倦怠感,呼吸困難感)と終末期治療(平均輸液量,持続的鎮静,平均オピオイド使用量)について長期入院群と非長期入院群とで比較した.31日以上長期入院群においては性別(オッズ比0.502),意識レベル(オッズ比0.258),補正カルシウム値(オッズ比0.559)が統計学的に有意であった.61日以上長期入院に対する予測因子解析では血清CRP値(オッズ比0.254)において統計学的な有意差を認めた.終末期症状・治療において31日以上長期入院の有無では倦怠感と平均輸液量が統計学的に有意に少なかった.61日以上長期入院の有無では差はみられなかった.
著者
平本 秀二 菊地 綾子 吉岡 亮 大津 裕佳 小東 靖史 後藤 容子 堤 ゆり江 平岡 眞寛 小野 公二
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.514-517, 2015 (Released:2015-04-16)
参考文献数
10
被引用文献数
4

進行胃がんの出血や通過障害に対する緩和的治療には,外科的治療,内視鏡的治療があり,多くの報告があるが,緩和的放射線治療の報告は少ない.2006年4月~2014年3月の間に当院で非切除進行胃がんの患者の症状緩和目的に放射線治療を施行した11例について検討した.治療目的は止血8例,狭窄解除4例であった.止血奏効率は63%,狭窄解除奏効率は50%であった.止血奏効期間中央値,狭窄解除奏効期間中央値はそれぞれ103日,52日であった.全生存期間中央値567日で,照射開始後生存期間中央値は105日であった.症状緩和目的の放射線治療は,外科的治療や内視鏡的治療より効果発現までに時間を要するため,症例を選べば一定の効果が期待でき,低侵襲であるため,よい選択肢となる治療である.