著者
吉岡 亮衛
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

本研究は、俳句データベースに蓄積されたデータと、エキスパート(選者)の評価基準を駆使して、新たな俳句が既存の俳句に類似している度合いを自動判定するシステムを開発することが最終目的である。そのため、(1)既存の俳句をデータベース化するためのデータベース構造を究明し、入手可能なできるだけ多くの俳句をデータベース化すること、(2)個々の俳句の特徴(たとえば季語)に照らしての分類や真贋判定する選者(エキスパート)の知識をルール化すること、及び(3)それらを一体化したシステムを開発することを目指している。本年度は次のように研究を進めた。1.季語データベースによる俳句の季語の特定季語データベースに登録された季語により適当に選んだ俳句の季語をどれくらいの割合で特定できるか、実際にマッチングテストを行った。マッチング方法の検討からはじめ、2つの歳時記に共通の季語1,542語で448句のサンプル俳句の訳65%の季語を特定できるという結果を得た。同時に、季語が特定できた時にどのような研究が可能となるか、一例として、俳句選者による季節及び事項の嗜好に関する分析結果を示した。2.季語データベースの増補次に、季語データベースを用いて俳句の季語を特定する場合の、特定率の向上について、季語を追加することによる特定率の変化を調べた。その結果、季語を増やせば、俳句の季語の特定率が上昇することを明らかにできた。ただし、約10,000語で90%の俳句を特定できた後、季語数の増加は特定率の向上にそれほど寄与しないであろうことを見いだした。つまり、特定率を90%で十分とするならば、1万語以上の季語データベースは必要ないという結論を得た。以上の一連の研究については、情報処理学会の人文科学とコンピュータ研究会において発表した。
著者
吉岡 亮衛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.100, pp.57-64, 2000-10-27
被引用文献数
6 3

本論は、コンピュータによる俳句の研究を行うために必要な俳句データベースと、俳句を分析するために必要な季語データベースの本格的な構築に先立ち、季語データベースの構造とデータベースに収録すべき季語の数を検討した結果を報告するものである。具体的には、2種類の季語を集めた本を材料として、共通に存在する季語を取り出し、それらの季語を用いて、サンプルとして抽出した俳句の季語を特定することを試みた。1 542語の季語で、448句の俳句を分析した結果、全体の約65%の俳句の季語を特定することができた。加えて、季語データベースと俳句データベースを用いて可能となる数量的研究の一部を紹介する。This paper reported the investigated results about the amount of Kigo in Kigo-database. This investigation is needed for building Kito-database, that is useful to analyse the Haiku. A Haiku-database and a Kigo-database are both needed to study Haiku by computer. Concretely, at first the common appeared Kigo in two books are selected. And it is tried to specify Kigos of sample haikus with those Kigos. About 65% of 448 Haikus are specified with 1,542 Kigos. Additionally and example of a possibility of quantitative research about Haiku by using a Kigo-database and a Haiku-database is introduced.
著者
吉岡 亮衛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 15 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.453-454, 1991-07-26 (Released:2018-05-16)

自由連想法で得られたデータをコンピュータで処理する際に、行われるデータのクリーニング作業で整理された語について分析した結果を、今後のデータのクリーニングの際に注意しておくべき観点としてまとめた。
著者
山極 哲也 酒井 和加子 吉岡 亮 上野 博司 山代 亜紀子 川上 明 荻野 行正 土屋 宣之 大谷 哲之 大里 真之輔 信谷 健太郎 竹浦 嘉子 上林 孝豊 清水 正樹 大西 佳子 上田 和茂
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.123-128, 2023 (Released:2023-04-24)
参考文献数
11

地域全体の緩和ケアの質の向上を図るためには,各施設が緊密につながることが必要であると考え,2017年9月に「京都ホスピス・緩和ケア病棟(PCU)連絡会」を発足させた.個々のPCU施設が抱える問題を気軽に話し合い,共に悩み考え,成長,発展させる場,新規立ち上げ施設を支援する場とした.連絡会では,その時々の話題(緊急入院,輸血,喫煙,遺族会など)をテーマに議論を行った.2020年,COVID-19流行のため連絡会は休会となったが,メール連絡網を用い,感染対策,PCU運営などの意見を交わし,WEB会議システムを用い連絡会を再開させた.日頃より顔の見える関係があることで,COVID-19流行という有事においてもPCU間の連携を維持し,がん治療病院との連携にも発展させることができた.京都府のPCUが一つのチームとなることで,患者,家族がどのような場所においても安心して生活できることを目指している.
著者
山元 啓史 坂谷内 勝 吉岡 亮衛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.105-106, 1996
参考文献数
1
被引用文献数
1

UNIXの通信ツールやシェルツールとCASTEL/Jのデータベース群を使い、日本語教材開発を進めるためのシステムを開発したので報告する。本システムは日本語教材を作成する際必要とされる語彙リストの自動生成機で、主処理をUNIXで行うシステムである。メールシステムを利用することにより、ユーザはUNIXを意識することなくこのシステムを利用し、自分が必要とする教材の前処理を手に入れることができる点が特徴である。
著者
吉岡 亮太
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2010年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.209, 2010 (Released:2010-06-10)

1.はじめに 神社の全国的な分布を明らかにしようとする研究は、長い歴史を有するにもかかわらず、今も未解明な点を多く残している。特に、全国で12万社以上ともいわれる神社を、その系統別に整理し、その分布を複合的に検討し、分布の地域的特質とその要因を明らかにした研究はあまり見られない。本研究では、デジタルデータである「平成『祭』データ」の特性を生かして、このような課題を解明することを目的とする。 2.研究方法 「平成『祭』データ」は全国に鎮座する神社のうち約8万社についての基礎的な情報を掲載しており、全国的な検討をする際には極めて有用な資料である。このデータの文字検索機能を用いて分析し、神社をその名称によって系統的に整理し神社群を設定した。そのうち神社数が20社以上という基準を設定すると、197の神社群を抽出することができた。特に、突出して多いのが1位の「八幡宮」群であり、以下29位の「氷川神社」群までは急速に減少していき、それ以下は横ばい傾向を示す。そこで、29位までを主要神社群とみなすこととし、それらについて分布を検討した。 3.各神社群の分布による東西格差 総神社数の6割を占める主要神社群29社の分布は、「越前―美濃―尾張」ラインを境として大きく異なる。すなわち、それ以東においては全体として29社の占める比率が高く、それ以西では比率の高い地域が一部塊状にあらわれ、神社分布においても「東北日本」「西南日本」という地域差が認められる。 次に、主要神社群を構成する各神社群の分布の特質を地図化を通して明らかにした。その結果、神社群の中には全国的に鎮座が見られるものとそうでないものとに二分でき、主要な神社群は前者に属する。そこで前者の分布特質に対して5つの型が指摘できた。第一は、「八幡宮」群や「賀茂神社」群、「厳島神社」群がそれに該当するが、各国にほぼ一定数で鎮座が見られる型であり「分散型」と呼称できる。第二は、「白山神社」群や「諏訪神社」群、「鹿島神社」群が該当するが、本社を中心とする地域への集中が顕著であり圏構造が認められる「偏在型」である。第三は、「天満宮」群や「日吉神社」群などがそれに該当するが、本社をおく地域を中心にした圏構造は見られる一方で、それ以外の地域にも一定数の神社が存在する型であり、第一と第二の中間ということで「中間型」と呼称することができる。次に、第四は、「熊野神社」群や「稲荷神社」群、「愛宕神社」群が該当するが、本社の存在する地域から離れた遠隔地にむしろ神社が集中する「乖離型」である。最後に第五は、「神明宮」群がそれに該当するが、第三と第四の両面を併せ持つ型であり、仮に「特殊型」と称しておく。 このような各神社群の分布パターンと、本社の位置との関係を整理すると、「東北日本」に本社をおく神社全てと、「越前―美濃―尾張」ラインにごく近い伊勢に本社をおく神明宮は、共通して「偏在型」という特徴を有しており、「越前―美濃―尾張」ラインが分布上の境界となっている「西南日本」への鎮座が極めて少ない神社であった。一方で、「西南日本」に本社をおく神社は、「分散型」もしくは「中間型」を示し、「越前―美濃―尾張」ラインを越え「東北日本」へと等しく分布している傾向が見られる。また、「乖離形」を示した神社も「西南日本」に本社を持つ神社群であるが、4社中貴船神社群をのぞく稲荷神社群・熊野神社群・愛宕神社群の3社が「東北日本」内の「東国」への集中傾向を示しており、「東北日本」「西南日本」の境界がより東に傾いてあらわれていた。 このように、「東北日本」側の神社にとって「越前―美濃―尾張」ラインがその境界として機能していた一方で、「西南日本」側に本社を持つ神社には、「越前―美濃―尾張」ラインが境界として機能しておらず、一貫して「東北日本」への伝播・勧請の影響が強くあらわれていた。「東北日本」と「西南日本」にあらわれる地域差は、それぞれに本社をおくこうした神社分布パターンの差異によって形成されたと考えられる。 4.今後の課題 以上、神社の分布について全体の約6割を占める主要神社群の分布検討を通して分布上の特質を、全体のみならず主要神社群の類型化の結果を通して明らかにした。ただ、国を基域とした全国レベルの検討にとどまっており、また予想された以上に多い5つもの類型があらわれる結果となった。したがって、今後よりミクロな分析により、このような分布パターンが現出した要因についても明らかにできると考える。
著者
菊地 綾子 平本 秀二 堀 哲雄 吉岡 亮 長島 健悟
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.335-340, 2018 (Released:2018-12-07)
参考文献数
17

緩和ケア開始後の早期死亡に関する予測因子研究はあるが,入院時に長期の生存期間を予測するモデルや予測因子に関する報告はない.31日以上あるいは61日以上の長期入院に関連する予測因子解析を探索的に行った.また終末期症状(がん性疼痛,せん妄,悪心・嘔吐,倦怠感,呼吸困難感)と終末期治療(平均輸液量,持続的鎮静,平均オピオイド使用量)について長期入院群と非長期入院群とで比較した.31日以上長期入院群においては性別(オッズ比0.502),意識レベル(オッズ比0.258),補正カルシウム値(オッズ比0.559)が統計学的に有意であった.61日以上長期入院に対する予測因子解析では血清CRP値(オッズ比0.254)において統計学的な有意差を認めた.終末期症状・治療において31日以上長期入院の有無では倦怠感と平均輸液量が統計学的に有意に少なかった.61日以上長期入院の有無では差はみられなかった.
著者
吉岡 亮
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.29-40, 2003

明治二〇年前後において、同時代の歴史改良論と連動しながら〈小説〉性を戦略的に利用した伝記『経世偉勲』や、小説改良論と呼応しながら〈歴史〉を独自の形で移入した政治小説『雪中梅』といった、歴史-伝記-小説を混質化する実践が相次いで登場した。坪内逍遥は、こうした試みに対して、事実/真理や題材の選択性といった基準に基づいた、歴史伝記/小説というジャンル区分を対置し、小説に関する言説を再編していった。
著者
吉岡 亮衛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.6, pp.17-24, 2001-01-19
参考文献数
6
被引用文献数
2

本論は、コンピュータによる俳句の研究を行うために必要な俳句データベースと、俳句を分析するために必要な季語データベースの本格的な構築に先立ち、季語データベースの構造とデータベースに収録すべき季語の数を検討した結果を報告するものである。具体的には、3種類の季語を集めた本を材料として、(1)共通に存在する季語、(2)すべての見出し語である季語、(3)見出し語の異称・別名・同類・対象語を含めたもの、の3通りの季語集合を作り、それらを用いて、サンプルとして抽出した俳句の季語を特定することを試みた。その結果、先の研究で1 542語の季語で448句の俳句を分析した結果、全体の約65%の俳句の季語を特定することができたものが、2 901語の季語により344句(76.8%)、6 709語で399句(89.1%)、約2万語で420句(93.8%)まで、判定率が向上することが見いだされた。また、最後まで季語が特定出来なかった俳句について、改善の方策を検討した。This paper reported the investigated results about the amount of Kigo in Kigo-database. This investigation is needed for building Kito-database, that is useful to analyse the Haiku. A Haiku-database and a Kigo-database are both needed to study Haiku by computer. Concretely, tree types of Kigo-group are made from three different books of "Kigo". The first one is the common Kigos in books, the second one is the all different Kigos in books, and in the third one are included more broader terms in the book "Shinhan-Kiyose". As a result of the Kigo matching test of all 448 Haikus, at the last time 1,542 Kigos hit about 65%. Then 2,901 Kigos hit 344 Haikus (76.8%), 6,709 Kigos hit 399 Haikus (89.1%), and about 20,000 Kigos hit 420 Haikus (93.8%). The specification rate of Kigo is improved by Enlarging the Kigo-database. At last the reasons of unmatched Haikus are discussed.
著者
平本 秀二 菊地 綾子 吉岡 亮 大津 裕佳 小東 靖史 後藤 容子 堤 ゆり江 平岡 眞寛 小野 公二
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.514-517, 2015 (Released:2015-04-16)
参考文献数
10
被引用文献数
4

進行胃がんの出血や通過障害に対する緩和的治療には,外科的治療,内視鏡的治療があり,多くの報告があるが,緩和的放射線治療の報告は少ない.2006年4月~2014年3月の間に当院で非切除進行胃がんの患者の症状緩和目的に放射線治療を施行した11例について検討した.治療目的は止血8例,狭窄解除4例であった.止血奏効率は63%,狭窄解除奏効率は50%であった.止血奏効期間中央値,狭窄解除奏効期間中央値はそれぞれ103日,52日であった.全生存期間中央値567日で,照射開始後生存期間中央値は105日であった.症状緩和目的の放射線治療は,外科的治療や内視鏡的治療より効果発現までに時間を要するため,症例を選べば一定の効果が期待でき,低侵襲であるため,よい選択肢となる治療である.
著者
吉岡 亮衛 藤田 剛志 カイザー シュテファン 寺田 光宏 シェーファー ゲルハルト ラングレット ユルゲン ザイタース ヒルデガルト
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

日本とドイツの高校1年生を対象に、アンケート調査を実施した。調査の内容は、人生の意味に対する理解、科学的概念の理解と自分と周りの関係の理解についてである。結果から、日本の高校生はドイツと比べて、人生の意味に対する意識が希薄で、科学的知識や自分自身のとらえ方が単純であることが分かった。
著者
小松 幸廣 吉岡 亮衞 坂谷内 勝
出版者
国立教育研究所
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

(1)音声データの収集とデータベース化音声データの収集とデータベース化を行った。音声データベースの対象として収集した音は虫の音、蛙、鳥、風の音など“自然の音"に関するものとアナウンサーによる辞書の見出し語の朗読など言語の音声情報である。収集した音データの詳細は次の通りである。・自然の音については教科書を使って録音対象とする語句の選出を行った。小中学校の全国シェア上位3社の現行教科書(小学校8科目、中学校14科目)を対象にして選出した結果、擬声語、擬態語など、国語、理科を中心に約300項目を得た。これを基に収録を進め、昨年集めたものと合わせて約150項目の音声データとなった。収録した音声データは編集を行い、音声レベル、量子化幅、サンプリング周波数、採取場所、時間、圧縮の有無、名称の属性を付けたうえで光磁気ディスクへの登録を行った。・言語の音声情報をデータベース化するために国語辞典(基礎日本語学習辞典)の見出し語約3,000語を音声情報として収録した。同音異義語、助詞、助動詞、代名詞、連体詞、接続詞など単独の発音だけではイントネーションやアクセントなどを識別するのが困難な場合については用例を収録した。(約500語)(2)音声データベース検索ツールの開発自然の音データベース及び言語の音声情報データベースの検索ツールの機能設計を行い、検索システムの試作、評価を行った。これらの研究から明らかになったことを挙げる。〈自然の音検索システム〉・擬声語や擬態語には類似な表現が多く共通理解を得ることが難しい。また、一言で"かぜの音"と表しても時間や場所によって差違が生じ、聞き手によっても感じ方が異なるため、共通の音イメージを得ることは難しい。このことから、検索ツールの開発にあたっては感性情報の処理に重きを置き、擬声語や擬態語での検索の他、“さみしい"、"明るい"などの感覚的表現の属性を付加し、様々なポインタから指せるデータ構造にした。・音源をジャンルによって分類し、分類項目及び音源をイラストで表現する方法をとった。また前述の感覚的表現もイラストで表した。これらの方法を使うと、小学校低学年でも検索が容易できることが明らかになった。〈言語の音声情報検索システム〉・日本語の学習用音声辞書を想定して検索システムを設計試作した。この検索システムでは国語辞典の見出し語による検索を実現した。また、イラストによる検索が有効であることが確かめられ、見出し語のイラスト化も完了した。現在イラストを使ったジャンル別シーンによる検索が可能なシステムの基本設計が終了し、試験システムの開発と評価が今後の課題として残されている。