著者
平松 毅久 新海 明
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.181-185, 1993 (Released:2007-03-29)
参考文献数
8
被引用文献数
4 5

ユアギグモ1種 Patu sp. の網構造と造網過程を観察した. 網は完全な水平円網で体長にくらべて大きく, タテ糸が極めて多かった. このタテ糸の大部分は普通の円網種と同様な過程でヨコ糸まで張り終えた後に付加されたものであった. また, 造網の最後にタテ糸を緩めて付け直すというこしき部の修正を行った. このような特徴的な造網行動は, 本種が普通の円網種より派生したことを示し, さらに網構造と造網行動の類似性から, 本種がヨリメグモ科やコツブグモ科のクモと近縁であることを示唆している.