著者
宇野 宏 平松 金雄
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.219-227, 1999-08-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

前方障害物に対するドライバの操舵回避の限界を明らかにするため, ドライビングシミュレータ上に障害物が突然出現する状況を設定し, 回避操作の内容と回避の成否を調査した. その結果, 余裕時間3.0秒以上であれば25名のドライバ全員が回避に成功できるのに対し, 余裕時間1.2秒以下では回避に成功できる者はないことがわかった. 障害物出現を予測している場合には, 余裕時間が短くなるにつれて操舵反応時間の短縮と操舵角速度の増大が観察され, ドライバの反応時間の最小値は約0.3秒, 操舵角速度の最大値は約500°/sと推定された. ただし, 障害物を予測していない場合にはこれらの特性が低下し, 結果として回避成功率が低下することが示された.