著者
平林 久吾 今井 壽正
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.720-724, 1996-05-10
参考文献数
5

脳幹脳炎は大きく3種類に分類される.すなわちBickerstaff型脳幹脳炎(parainfectiousbrainstem encephalitisを含む),感染性脳幹脳炎(結核性,単純ヘルペス性,日本脳炎など),原因不明の脳幹脳炎(神経Behcet病,飯塚型脳幹脳炎)である.最近の神経科学の進歩に伴ない, Bickerstaff型脳幹脳炎の病因の一部に抗GQlb抗体の関与が明らかとなってきた.感染性脳炎の原因菌やウイルスの同定にELISA法やPCR法が導入され,早期診断,早期治療に役立っている.脳幹脳炎はいまだに原因不明(Bickerstaff型脳幹脳炎の一部も含む)のものが主体をなしており,さらなる原因の究明が待たれる.