著者
平林 淳利
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.97, pp.1-11, 2020-05-31 (Released:2021-05-31)
参考文献数
21

シエラレオネで1991年から2002年まで続いた内戦の要因の一つに,伝統的指導者であるパラマウント・チーフによる不公平な統治や権限乱用があげられている。内戦後の2004年にシエラレオネ政府が施行した地方自治法では,地方議会を復活させ,パラマウント・チーフの権限を制限し,民主的な統治および地方開発を推進する動きが見られる。本論文では,シエラレオネの地方自治法が規定する地方開発体制と仕組みに準じて実施した,日本の技術協力「シエラレオネ地域開発能力向上プロジェクト」を事例とし,同プロジェクトリーダーを務めた筆者が,現地の聞き取り調査およびプロジェクト報告書などをもとに,地域活動におけるパラマウント・チーフの関与の実態とその仕組みを分析する。そのうえで,シエラレオネの地方自治制度が意図する民主的な地域活動の状況を考察する。