- 著者
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山口 裕也
山縣 元
平瀬 伸尚
塩崎 宏
桑野 晴夫
渡辺 次郎
- 出版者
- 日本膵臓学会
- 雑誌
- 膵臓 (ISSN:09130071)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.2, pp.70-75, 2006 (Released:2006-12-08)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
-
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症例は83歳男性.心窩部のつっぱり感を自覚し当科受診.血中膵酵素の増加とCTにて膵全体のソーセージ様腫大を認め,自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis:AIP)が疑われ入院となった.ERCPでも膵体部を中心に主膵管の狭細化を認めAIPが強く疑われたが自己抗体,IgG,IgG4の増加を認めず確診にいたらなかった.一旦退院となるも退院2日後より排便困難が出現し再入院.大腸内視鏡で直腸の狭窄と粘膜の浮腫を認め,CTでは膵腫大に加え新たに腹水を認めた.直腸生検にて異型リンパ球の粘膜内浸潤を,また腹水中にも異型リンパ球を認めたため可溶性IL-2レセプター(sIL-2R)を測定し3,183U/mlと高値を確認,悪性リンパ腫と診断した.化学療法(THP-COP)にて膵腫大,膵管狭窄は改善し腹水は一旦消失したが,その後短期間のうちに治療抵抗性となり呼吸不全にて死亡した.