著者
中野 尚夫 平田 清則 大西 政夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.175-180, 2004-06-05
被引用文献数
1

一辺15,20,25,30,35,40cmの正方形播(1本仕立て,44.4,25.0,16.0,11.1,8.2,6.3株/m^2)のもとで,ダイズ(品種タマホマレ)における栽植密度と生育・収量の関係を光受容の変化から検討した.m^2当たり茎重は,m^2当たり分枝数と高い相関関係(r=0.74^<**>)にあり,栽植密度が高いほど高かった.分枝の発生率は,その発生する節位置の相対照度が35%程度以上では照度による差がみられなかったが,それより低い照度では照度の低下に伴って低下した.また,分枝の発生した節の相対照度が10%程度より低いと分枝の生存率が急速に低下し,5%程度の相対照度では約60%の生存率となり,個体当たりの分枝数は栽植密度が高いほど少なく,15cm区の分枝数は40cm区の約1/3になった.このためm^2当たり茎重は,密植に伴って増加程度が小さくなった.子実収量は,11.1株/m^2で最も高く,それより密植,あるいはそれより疎植になるに伴って低下する傾向にあった.子実収量はm^2当たり着莢数と有意な相関関係にあった.m^2当たり総節数,同着花数は,同分枝数と0.99^<**>あるいは0.93^<**>の高い相関関係にあり,密植ほど多かった.m^2当たり着莢数は,結莢率が節位置の相対照度が20%程度以下でその低下に伴って低下して密植ほど低かったため,栽植密度に伴う増加が同総節数,同着花数に比べ一層抑えられ,さらに一莢粒数も密植ほど少ない傾向にあった.以上から密植では分枝,節数,着花数に加え,結莢率,一莢粒数も低下するため,20cm区や15cm区のような密植では25cm区や30cm区よりもかえって子実収量が低い傾向になったと考えられた.