- 著者
-
平賀 陽之
- 出版者
- 日本神経学会
- 雑誌
- 臨床神経学 (ISSN:0009918X)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.5, pp.305-313, 2023 (Released:2023-05-27)
- 参考文献数
- 30
症例報告は,臨床医の個々の経験を共有し,日常診療の洞察と落とし穴という有益な情報を提供してくれる.症例報告には,適切な症例の選択,十分な文献の検索,正確な症例の記述,投稿,査読への効果的な返答が必要である.この一連の過程が若い医師に学びの経験をもたらし,彼らの科学者キャリアを始動させる.症例報告の第一歩は,日常診療で常に患者の病態生理と解剖に注意し,典型的ではない点を考えて,文献を検索する習慣を持つことである.症例報告は稀さのみを重視するべきではない.報告に値する症例には明確な「学ぶ点」が必要である.よい症例報告は,明確,簡潔で首尾一貫しており,歯切れのよいメッセージを読者に伝えるべきである.