著者
大森 睦美 占部 和敬 辻田 淳 内 博史 幸田 太 師井 洋一 古江 増隆
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.17-20, 2009

73歳,女性。初診の8ヶ月前,顔面中央に青灰色の色素沈着が出現し,次第に体幹,手掌に拡大した。受診時,顔面,胸部,上背部,両手掌外側に青灰色の色素沈着を認めた。病理組織学的に汗腺や毛包周囲に黒褐色粒子の沈着を多数認めた。詳細な問診により初診の3ヶ月前まで約3年間,口内炎に対して連日硝酸銀を含む口腔含嗽液を使用していたことが判明し,銀皮症と診断した。診断後,外来にて3年間の経過観察を行っているが全身の色素沈着は軽快していない。
著者
平松 俊紀 小糸 理紗 幸田 太
出版者
一般社団法人 日本中毒学会
雑誌
中毒研究 (ISSN:09143777)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.307-312, 2022-12-10 (Released:2023-01-26)
参考文献数
32

ニホンマムシ(Gloydius blomhoffii)による咬症受傷翌日に複視症状をきたした症例に乾燥まむしウマ抗毒素(乾燥まむし抗毒素「KMB」®,以下,抗毒素)を投与した1例を経験した。症例は87歳女性,マムシに左第3指を咬まれて受傷した。複視症状が出現したため受傷から約26時間後に医療機関を受診し,約30時間後に抗毒素を投与された。複視症状は軽快し,入院4日目に退院した。マムシ毒に含まれている酵素により出血や壊死をきたすとともに少量ながら含まれる神経毒が外眼筋の運動障害などの眼症状を呈することがある。本症例は眼症状から重症と考え,治療に抗毒素を投与したが,その理由は抗毒素の投与が重症例,かつ蛇毒咬症受傷後早期に投与が望まれるためである。しかしながら受傷に際して毒蛇の認識は困難な場合も多く,受傷後の症状経過から毒蛇咬症が判明することがある。抗毒素投与は投与前に十分な対応を行いつつ血清病発症に注意することで安全な治療が可能となる。