著者
児玉 亮 広津 敏博 井島 宏 前田 肇 Marcel E. NIMNI
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.38, no.10, pp.725-731, 1981-10-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
22
被引用文献数
3

血小板を凝集および粘着させない修飾コラーゲンをプラズマ処理により人工血管に結合させ, その生体適合性と抗血栓性を検討した. グルタルアルデヒド処理により線維状コラーゲンの血小板凝集能は低下した. また, コラーゲンの線維形成を阻害すると凝集能は喪失した. 線維状コラーゲンもコンドロイチン硫酸とイオン結合すると血小板凝集能を失う. ヒアルロン酸はコラーゲンの血小板凝集能に影響を与えなかった. コラーゲン線維・コンドロイチン硫酸複合体膜は, 血小板の変形も小さく, 血漿たんばく質の吸着も抑制した. ポリエステル製人工血管をプラズマ処理して, コラーゲンを結合させ, 次に, コンドロイチン硫酸をイオン結合させた. これを成犬静脈に置換した. 急性実験 (3時間) では, フィブリン形成や血小板付着が抑制されていることがわかった. 長期 (3~6か月) 開存例もあり, 安定な偽内膜形成が観察された.