著者
高野 忠 名取 通弘 大西 晃 三好 一雄 井上 登志夫 水溜 仁士 箭内 英雄 広澤 春任
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.673-682, 1998-07-25
被引用文献数
11

長さを定めた柔軟ケーブル群は, 伸展マストで張力を加えることにより, 放物面を近似できる.その上にメッシュを張れば, アンテナの主反射鏡面となる.マストを縮めて張力を抜けば, 反射鏡面は小さくたためる.この形のアンテナは, 展開/収納の容積比を大きくできる特長がある.本論文は, この張力ケーブルトラス構造を応用して衛星搭載用大口径アンテナを構成する場合の問題点と, その解決法について述べる.まず構造, 展開法, 使用材料を説明する.つぎに多数のケーブル類や伸展物を用いる本アンテナにおいて, 絡み防止法と重力補正法の必要性と具体的方法を記す.最後に主反射鏡の精度と電気特性を推定する.なお, 本アンテナは実際に, スペースVLBI(超長基線干渉計)衛星に搭載されて打ち上げられ, 宇宙で展開された.