著者
小野島 紀夫 笠松 章史 広瀬 信光 三村 高志 松井 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.355, pp.1-5, 2007-11-20
参考文献数
3

本研究ではミリ波帯動作する超高速シリコン系デバイスの開発に向けて、サブ100nmゲート長SiGe/Si高電子移動度トランジスタ(HEMT)の作製を行っている。これまでにゲート長60nmのデバイスでは電流利得遮断周波数70GHzを達成している。今回、触媒化学気相堆積法(Cat-CVD)により形成したシリコン窒化膜(SiN)を用いた絶縁ゲートHEMTを作製評価した。Schottkyゲート構造のデバイスと比較して、ゲートリーク電流の抑制による大きなゲート電圧スイングを実現し、優れたデバイス静特性が得られた。しかし、高周波デバイス特性では絶縁ゲートHEMTの方がSchottkyゲートHEMTよりも劣っていることが明らかになった。容量-電圧測定から絶縁ゲートHEMT構造の電気的特性を調べた結果、電流輸送チャネルが2種類存在することが分かった。1つはSiGe/Si埋め込みチャネルで、もう1つはSiN/Si表面チャネルである。絶縁ゲートSiGe/Si HEMTの高周波デバイス特性をさらに向上するためにはエピタキシャル構造やデバイスデザインの検討が必要である。