著者
原田 誠三郎 生盛 剛 庄司 眞 福山 正文 天野 憲一
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.411-419, 2004-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3

気象因子の一つである絶対湿度からインフルエンザウイルスの動態を把握する目的で, 秋田県北部の大館市, 及び県中央部の秋田市における2001年から2002年のインフルエンザ患者数並びに絶対湿度とインフルエンザウイルス分離について調査を実施した結果, 以下の成績が得られた.1) 大館市, 及び秋田市で分離されたインフルエンザウイルスA型 (H1N1・H3N2) ・B型 (ビクトリア・山形) は, 絶対湿度2.7g/mm3から8.8g/mm3の範囲内で分離された.2) 2002年に秋田市では, 5月 (20週目及び22週目) にインフルエンザウイルスが分離され絶対湿度も9g/mm3以下であった.この年は5月までインフルエンザの流行があった.3) この結果, インフルエンザ流行は絶対湿度に相関し, 9g/m3以下の期間にみられることが予想された.4) 大館市, 及び秋田市では, 6時間後5%のインフルエンザウイルスが生存する絶対湿度10g/mm3の期間は1月から6月と10月から12月であった.5) インフルエンザの流行は, 時間と場所によって異なるので, インフルエンザ流行と絶対湿度の関連性をさらに検討する必要がある.