著者
庭野 元孝 青木 孝文 大石 達郎 笹野 満
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.3048-3051, 2002-12-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
13

症例は64歳の女性. 13年前から脳梗塞後遺症の右半身完全麻痺と左半身不全麻痺を認め, 5年前より18Fr尿道フォーリーカテーテルを常時留置されていた.平成13年9月中旬より近医での膀胱洗浄時に糞尿,気尿を認め本院へ転院,膀胱鏡,膀胱造影により尿道カテーテルによる膀胱S状結腸瘻と診断された.手術は腹腔鏡下に瘻孔を含めてS状結腸を部分切除してハルトマン式で単孔式人工肛門を造設した.膀胱壁の瘻孔は硬く,腹腔鏡下の縫合が不十分なため6cmの下腹部正中切開を置き直視下に縫合閉鎖した.膀胱S状結腸瘻の報告は比較的稀で,その大多数はクローン病や憩室炎などの炎症に由来するものであるが今回,われわれは極めて稀な留置カテーテルによる膀胱S状結腸瘻を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.