著者
庵原 英晃
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.92-103, 2000-06-28
参考文献数
37
被引用文献数
1

C.ampylobacter rectusは,一端に鞭毛を有する微好気性のグラム陰性桿菌で,ヒトの歯周病と深く関わっていると言われている。本菌には表層構造物としてS-layer,細胞毒性物質などの病原因子が存在する。本研究では,C. rectus に対するモノクローナル抗体を作製し,その検出を行うと共にprobing depth(PD),bleeding on probing(BOP),gingival index(GI)との関連性を解析した。作製したモノクローナル抗体のうち,150kDaのS-layerタンパク質を認識するものをCRT-1,CRT-2と命名した。CRT-2は C. rectus ATCC 33238Slayer保有株と反応したが S-layer 非保有株とは反応しなかった。CRT-3と命名したモノクローナル抗体は60 kDaタンパク質と反応し,Campylobacter showae ATCC 51146 および CCUG 11641 と交差反応した。CRT-2 モノクローナル抗体を用いたdot-blot法におけるC. rectus の検出限界は10^3個であった。歯周炎患者プラークサンプルからの C. rectus の検出率は,PD(p<0.001),BOP(p<0.001),GI(p<0.001)と統計学的に正の相関関係が認められ,C. rectus の感染が臨床症状と強い関わりがあることが示された。