著者
菊池 潔 廣井 準也 田角 聡志
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

海と河をめぐる回遊機構(遡河回遊)に関しては、これまでに多くの生理・生態学的な知見が集積しているが、回遊を可能ならしめたゲノム上の変異は同定されていない。トラフグ属魚類の多くは純海産魚であるが、その近縁2種は淡水適応に成功し、河に遡って産卵する。本研究では、これまでの回遊研究とは異なった切り口、すなわち順遺伝学的手法を採用した。その結果、遡河性2種に共通の淡水耐性遺伝子座を見出した。次に、トラフグ属魚類合計10種のゲノムDNA配列を用いて、淡水で生息可能な2種にのみ共通するDNA配列を探索したところ、回遊を可能ならしめた変異候補をさらに絞り込むことができた。