著者
廣川 俊二 福永 道彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.15-26, 2014 (Released:2017-02-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

和式生活では様々な座位動作が行われるが, これらの動作時の下肢関節のキネマティクスを体系的に計測した研究例は少ない. 本研究では, 健常成人男子10名, 同女子10名を対象に, 三次元磁気式位置計測センサーを用いて, 正座を初め, 様々な座位動作中の股関節と膝関節の屈曲角の時間変化を計測し, 各動作中の関節角の時間変化パターンの特徴や, 最大屈曲角, 股関節と膝関節の屈曲角変化の相関関係などを求めた. その結果, 股関節の最大屈曲角は立位靴下着脱での157.5±20.4°, 膝関節のそれは上肢の介助なし, 片脚から踏み出して正座を行う際の157.1±10.0°であること, 座位状態よりも座位動作や起立動作の過程で最大屈曲角を示す動作が多いこと, 股関節と膝関節の屈曲角変化には強い相関性が認められることなどの点を明らかにした.
著者
佐崎 祥子 廣川 俊二
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.227-234, 2005 (Released:2007-10-23)
参考文献数
9

工業用複合材料が主要強度材である繊維と母材の中間的強度を示すのに対し,生体複合材である腱・靭帯では主要強度材である線維束よりも靭帯複合体の力学強度が高くなり,工業材料とは逆の現象を示す.本研究では,生体軟組織の階層構造を考慮しつつ,靭帯を線維束の集合体とみなした二種類の靭帯力学モデルを構築し,上記逆転現象のメカニズムの解明を試みた.モデルには,実験結果を基に線維束の力学的不均一性や線維束・間質物質間の干渉力を表す要素を含めた.最初のモデルは線維束と靭帯の伸びだけを扱った一次元離散モデルであり,靭帯の応力-ひずみ特性に見られるつま先領域,線形領域,破断領域を区別しつつモデルを構成した.第二のモデルは超弾性体の二次元連続体モデルであり,靭帯固有の特性である有限変形,非圧縮性の条件を導入した.シミュレーション解析の結果,両モデル共に,上記逆転現象を再現し得ることを確認した.