著者
津田 涼汰 廣瀬 孝三郎 上原 盛久 松原 仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.386-397, 2019
被引用文献数
1

<p> 沖縄島中南部に広がる島尻層群泥岩は,N値50以上を示す場合が多いことから良好な支持層としてみなされる反面,人工法面や自然斜面においては多くの崩壊・すべりが発生することで知られる.また,建設後約30年が経った本泥岩を主体とする道路法面では,法面保護工の損傷が多く見られ,経年に伴う岩石風化の可能性が指摘されている.本研究では,沖縄県中南部に位置する高速道路法面から得られた島尻層群泥岩の約30年間の強度変化を推定し,スレーキング試験,粉末X線回折分析及び微細構造観察によって,本法面の物理的・化学的な風化メカニズムについて検討した.結果として,法面保護工の損傷は,本泥岩に含まれる粘土鉱物の膨潤・溶解作用や黄鉄鉱の酸化作用等の物理的・化学的な風化作用に深く関わっていることが明らかとなった.</p>