著者
廣瀬 雅裕 三橋 武司 中神 理恵子 新保 昌久 山本 啓二 勝木 孝明 島田 和幸
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement3, pp.12-19, 2007-08-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
3

症例1:80歳,女性.急性心筋梗塞の疑いで入院.心電図はII,III,aVFにST上昇.心エコーで後下壁運動低下・心嚢液貯留あり.造影CTで大動脈解離は否定.冠動脈造影で左回旋枝狭窄病変を認めた.心タンポナーデを呈したため穿刺にて血性心嚢液排液し血行動態は改善.マルチスライスCTで左室後壁に菲薄化を認め,心筋シンチ・冠動脈狭窄部位と一致し心筋梗塞に伴う心破裂と診断.症例2:73歳,女性.胸背部痛で近医受診.心電図はII,III,aVFでST上昇.一時ショック状態となり当院搬送.造影CTでは大動脈解離は否定的であったが心嚢液貯留あり.心エコーでは壁運動異常なく血行動態も安定したため保存的に加療.マルチスライスCTでは左室後壁に菲薄化あり心破裂と診断.急性心筋梗塞の浸出性心破裂は臨床経過や心エコーのみでは確定診断に至らないことも多いわれはマルチスライスCTにて左室の菲薄化を明瞭に描出し心破裂の診断に至った2症例を経験したので報告する.