著者
山本 啓二
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.135-147, 2001 (Released:2010-03-12)

Historical astrology is the branch of astrology that deals with political and religious history by using the conjunctions of the superior planets. This kind of astrology had been developed in Sasanian Persia on the basis of the Indian system of yuga.The Book of Religions and Dynasties attributed to Abu Ma'šar (787-886 A. D.) is the most complete surviving work that gives us a systematic account of the full range and methodology of historical astrology. The most significant difference between The Book of Religions and Dynasties and other surviving texts concerning historical astrology attributed to Sasanian and early 'Abbasid astrologers, such as Zoroaster, Gamasb, Maša'allah, and al-Kindi, is that only the former attempts to explain philosophical and technical principles.According to The Book of Religions and Dynasties, astrological interpretation is mainly based on four kinds of conjunction and four horoscopes. Out of the four conjunctions, three are those of Saturn and Jupiter, occurring every 20 years in each sign, every 240 years within the same triplicity, and every 960 years returning to the first sign, and one is that of Saturn and Mars every 30 years in the sign of Cancer. The basic horoscopes are set up for the vernal equinoxes in 571 A. D., i. e. the year of conjunction indicating the Religion, in 622 A. D., i. e. the year of Hegira, in 749 A. D., i. e. the year in which the shift of rulership to as-Sawad (the 'Abbasids), and in 809 A. D., the year in which the sign of conjunction moved from a watery triplicity to a fiery one.Historical astrology was introduced from the Sasanian tradition by al-Mansur (ca. 713-775) as one of the policies by which he could lay the solid foundation of the newborn dynasty, and it was used most effectively among the early 'Abbasids. The Book of Religions and Dynasties will cast a new light on the future studies of Sasanian and early 'Abbasid dynasties.
著者
山本 啓二 Keiji Yamamoto 京都産業大学文化学部
出版者
京都産業大学総合学術研究所
雑誌
京都産業大学総合学術研究所所報 (ISSN:13488465)
巻号頁・発行日
no.10, pp.49-57, 2015-07

11世紀のカイロで医者として活躍したアリー・イブン・リドワーンは,プトレマイオスによる占星術書『テトラビブロス』に対してアラビア語で全文註解を施している。この『テトラビブロス註解』は13世紀にラテン語に翻訳され,さらに15世紀には印刷され,広くラテン世界にも知られるようになった。アリーはその註解を書く際に,フナイン・イブン・イスハークによるアラビア語版を用いていた。筆者は現在フナイン版テキストの校訂版を準備しているが,その場合に,13世紀以降のものしか残っていないフナイン版の写本以外に,11世紀にアリーによって註解書に引用されたフナインのテキストも参照すべきであることを認識するに至った。
著者
森 真誠 深井 貴明 山本 啓二 広渕 崇宏 朝香 卓也
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2022-OS-157, no.7, pp.1-8, 2022-09-06

近年,爆発的に増加するデータを処理するために,多くのソフトウェアが利用されている.これらを共用 HPC システム上で利用する需要はあるものの,現在の共用 HPC システムはユーザが管理者権限を使用 (以後,root 化) できず,これらソフトウェアの導入に多くの労力を要する.また,システムレベルの最適化も root 化ができないため共用 HPC 環境では困難である.一方で共用 HPC 環境で単に root 化を許可すると,ハードウェアへの恒久的な変更などセキュリティや運用上で問題ある操作を防げない.また,ユーザのジョブがシステムの設定を変更できるため,ジョブの実行毎に設定変更の影響を取り除くためのマシン再起動が必要となるものの,再起動処理には多くの時間を要する.仮想計算機を用いるとこれらを解決できるものの,仮想化処理による性能劣化があり HPC システムには適さない.本研究では,上記課題を解決しユーザの root 化を可能とするシステムを提案する.提案システムは軽量なハイパバイザによって (1) ハードウェアの恒久的な変更を防ぐ機能と (2) ジョブ実行後マシンの再起動なしにシステムを既定の状態へ戻す機能を提供する.本手法を富岳と同系統システムで評価するため,Arm プロセッサで動作する軽量ハイパバイザ MilvusVisor と上記 2 つの機能を設計および実装した.本実装による実験の結果,メモリ性能における性能劣化について 2% 以下で上記機能を実現できることを確認した.
著者
森 真誠 深井 貴明 山本 啓二 広渕 崇宏 朝香 卓也
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-59, no.7, pp.1-8, 2022-09-06

近年,爆発的に増加するデータを処理するために,多くのソフトウェアが利用されている.これらを共用 HPC システム上で利用する需要はあるものの,現在の共用 HPC システムはユーザが管理者権限を使用 (以後,root 化) できず,これらソフトウェアの導入に多くの労力を要する.また,システムレベルの最適化も root 化ができないため共用 HPC 環境では困難である.一方で共用 HPC 環境で単に root 化を許可すると,ハードウェアへの恒久的な変更などセキュリティや運用上で問題ある操作を防げない.また,ユーザのジョブがシステムの設定を変更できるため,ジョブの実行毎に設定変更の影響を取り除くためのマシン再起動が必要となるものの,再起動処理には多くの時間を要する.仮想計算機を用いるとこれらを解決できるものの,仮想化処理による性能劣化があり HPC システムには適さない.本研究では,上記課題を解決しユーザの root 化を可能とするシステムを提案する.提案システムは軽量なハイパバイザによって (1) ハードウェアの恒久的な変更を防ぐ機能と (2) ジョブ実行後マシンの再起動なしにシステムを既定の状態へ戻す機能を提供する.本手法を富岳と同系統システムで評価するため,Arm プロセッサで動作する軽量ハイパバイザ MilvusVisor と上記 2 つの機能を設計および実装した.本実装による実験の結果,メモリ性能における性能劣化について 2% 以下で上記機能を実現できることを確認した.
著者
廣瀬 雅裕 三橋 武司 中神 理恵子 新保 昌久 山本 啓二 勝木 孝明 島田 和幸
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement3, pp.12-19, 2007-08-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
3

症例1:80歳,女性.急性心筋梗塞の疑いで入院.心電図はII,III,aVFにST上昇.心エコーで後下壁運動低下・心嚢液貯留あり.造影CTで大動脈解離は否定.冠動脈造影で左回旋枝狭窄病変を認めた.心タンポナーデを呈したため穿刺にて血性心嚢液排液し血行動態は改善.マルチスライスCTで左室後壁に菲薄化を認め,心筋シンチ・冠動脈狭窄部位と一致し心筋梗塞に伴う心破裂と診断.症例2:73歳,女性.胸背部痛で近医受診.心電図はII,III,aVFでST上昇.一時ショック状態となり当院搬送.造影CTでは大動脈解離は否定的であったが心嚢液貯留あり.心エコーでは壁運動異常なく血行動態も安定したため保存的に加療.マルチスライスCTでは左室後壁に菲薄化あり心破裂と診断.急性心筋梗塞の浸出性心破裂は臨床経過や心エコーのみでは確定診断に至らないことも多いわれはマルチスライスCTにて左室の菲薄化を明瞭に描出し心破裂の診断に至った2症例を経験したので報告する.

1 0 0 0 OA 心不全と血栓

著者
山本 啓二
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.614-620, 2005 (Released:2007-07-03)
参考文献数
26
被引用文献数
1
著者
大崎 篤史 芦谷 啓吾 大庫 秀樹 山岡 稔 市村 隆也 李 治平 永田 耕治 茅野 秀一 宮川 義隆 山本 啓二 中元 秀友 今枝 博之
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.160-161, 2015-12-12 (Released:2016-01-06)
参考文献数
10

A 60-oyear-oold male visited a clinic because of gastric discomfort. This symptom was temporarily improved by a proton pump inhibitor, but it was worsened by discontinuation of the drug. He was referred to our hospital. Esophagogastroduodenoscopy showed an elevated lesion with multiple whitish small granular protrusions in the duodenal second portion, occupying two thirds of the circumference. The lesion was diagnosed to be a follicular lymphoma by histopathological examination including immunostaining of the biopsy specimens. He was admitted to our hospital. Abdominal CT scan showed no lymph node metastasis. Capsule endoscopy of the small intestine showed lymphoid follicles in the distal ileum in addition to the duodenal lesion. Bone marrow aspiration showed no invasion of lymphoma cells. This case was diagnosed as stage I according to the Lugano international conference classification. He underwent monotherapy using rituximab four times. However, the lesion did not respond. Therefore, radiotherapy was added which induced regression of the duodenal lesion. Follow-oup capsule endoscopy did not show any lesion in the distal ileum. As long-term outcome after treatment for duodenal follicular lymphoma is not known, strict observation is considered to be necessary.
著者
島田 和幸 山本 啓二
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.1001-1011, 2000-12-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
39

大規模な臨床疫学調査や個々の臨床成績は,いずれも急性心筋梗塞のみならず,一過性心筋虚血,不安定狭心症,突然死,重症不整脈,および脳卒中などのほとんど全ての心血管系疾患が覚醒起床後の午前中の数時間の時間帯に集中して発症する事実を報告している.神経・体液性の生理的諸指標の概日リズムの研究を通して,何故この時期に疾患が多発するのかが次第に解明されてきた.たとえば,血圧や心拍数は交感神経活性の充進とともに"morningsurge"という早朝の急激な上昇が観察される.これらが単なる生体内時計による生物学的現象の日内リズムのなせるわざではないことは,覚醒後故意に起床を遅らせた場合,生理諸指標の変動や心血管系疾患の発症時間も並行して後ろにシフトすることから理解できる.生物現象としての生体内時計と人間の行動が生み出す日内リズムの総和として,心血管系疾患の概日リズムが形成されると考えられる.これらの病態をふまえて,時間薬物治療学などの概念を導入しつつ心血管系疾患への対処を考えることが重要である.
著者
山本 啓二 Keiji Yamamoto 京都産業大学文化学部
雑誌
京都産業大学総合学術研究所所報 (ISSN:13488465)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.49-57, 2015-07

11世紀のカイロで医者として活躍したアリー・イブン・リドワーンは,プトレマイオスによる占星術書『テトラビブロス』に対してアラビア語で全文註解を施している。この『テトラビブロス註解』は13世紀にラテン語に翻訳され,さらに15世紀には印刷され,広くラテン世界にも知られるようになった。アリーはその註解を書く際に,フナイン・イブン・イスハークによるアラビア語版を用いていた。筆者は現在フナイン版テキストの校訂版を準備しているが,その場合に,13世紀以降のものしか残っていないフナイン版の写本以外に,11世紀にアリーによって註解書に引用されたフナインのテキストも参照すべきであることを認識するに至った。
著者
山本 啓二 矢野 道雄
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

プトレマイオスによる『テトラビブロス』のアラビア語校訂版を作成する過程で初めて得られた知見は、9世紀のフナイン・イブン・イスハークが改訂したとされるアラビア語写本が全部で9種類現存することが確認できたこと、サービト・イブン・クッラ(9世紀)がナイン版にどの程度手を加えたかが判明したこと、そしてフナイン版とウマル版がともに、現存する唯一のシリア語写本から翻訳されたものではないことが判明したことである。
著者
堀 敦史 山本 啓二 大野 善之 今田 俊寛 亀山 豊久 石川 裕
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-8, 2011-07-20

エクサスケールを視野に置いた、メモリや通信の遅延を隠蔽するための新しいマルチスレッドライブラリを提案する。そのためにはサブマイクロ秒でのスレッド制御を可能にする必要がある。本稿では、スレッドスケジューリングとして、プロセッサの Simultaneous Multi-Threading 機能を用い、ハードウェアによる高速なスレッドスケジューリングを用い、また、スレッド間の同期機構として Intel 製のプロセッサが提供する monitor/mwait 命令を用いた新しいスレッドライブラリ、Shadow Thread を提案する。高速な同期と低消費電力を両立させるため、同期フラグを spin-waitとmonitor/mwait 命令を組み合わせた 2-phase の同期機構が有効であることを示す。この方式を用いて開発された Shadow Thread は、メモリ領域のコピーにおいて、最大約 20% の高速化に成功した。Towards the Exa-scale computing, a new thread library is proposed to hide the latencies of memory and communication. For this purpose, thread management must be fast enough in the order of sub-micro seconds. In this paper, the thread library, named Shadow Thread, is developed so that it utilizes Simultaneous Multi-Threading mechanism which schedules threads by hardware in a very fast way and utilizes the monitor and mwait instructions supported by some Intel processors. It is shown that the two-phase synchronization technique combining the conventional spin-wait method and the pair of the monitor/mwait instructions can satisfy the requirement of speed and low-power consumption simultaneously. Evaluation shows that a memory copy function using the Shadow Thread library can exhibit better performance up to 20% compared with the normal memcpy function.