著者
小林 一樹 齊藤 由空 廣神 奏音 広井 勉 小野田 淳人
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.199-206, 2017-06-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

世界中で消費され始めている日本の伝統的な食材の一つにこんにゃくがある。こんにゃく製品を製造する過程で多量のこんにゃく飛粉が副産物として生み出されているが,有効な活用方法が少なく,その付加価値を高めるために利用方法を模索する研究が求められている。本研究は,こんにゃく飛粉から再生可能エネルギーの一つであるバイオエタノールを生成することが可能かどうか検証することを目的として行った。硫酸,塩酸または硝酸を用いてこんにゃく飛粉中に含まれる多糖類を単糖類に分解(糖化)し,発酵で単糖類をエタノールと二酸化炭素に分解,蒸留による精製を行うことでエタノールの濃縮を試みた。また,糖化,発酵,精製の各工程後に生成する物質を明らかにするため,高速液体クロマトグラフならびにガスクロマトグラフによる成分分析を行った。本研究により,硫酸を用いた糖化を経ることで,こんにゃく飛粉(30 g)から他の食糧廃棄物と同様にエタノール水溶液(9.1 g/L,600 mL)の生成が可能であることが,明らかになった。本研究は,肥料や家畜飼料の他に,こんにゃく飛粉の新たな活用方法としてバイオエタノールが製造できる可能性を示した。