著者
和田 治 建内 宏重 市橋 則明
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.356-362, 2009-12-20

【目的】骨盤の矢状面アライメントが,身体回旋動作における胸郭・骨盤・脊柱回旋可動域および身体重心移動量に与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は骨・関節および神経疾患のない健常成人男性17名とした。三次元動作解析装置を用いて,身体回旋動作時の胸郭・骨盤・脊柱回旋可動域および身体重心移動量(後方・側方)を求めた。開始肢位の骨盤前傾角度を自然立位(中間位),自然立位より5度前傾位(前傾位),自然立位より5度後傾位(後傾位)の3種類とし,各条件で身体回旋動作を測定し,これらの項目を比較した。【結果】身体回旋角度において,前傾位での回旋では,中間位での回旋と比較し,胸郭・骨盤・脊柱とも回旋角度は有意に低値を示した。後傾位での回旋では,中間位での回旋と比較し,胸郭・骨盤・脊柱とも回旋角度は有意に低値を示し,前傾位での回旋と比較すると,脊柱の回旋角度が有意に低値を示した。身体重心移動量は,前傾位での回旋では,中間位での回旋と比較して,後方重心移動量が有意に小さく,側方重心移動量が有意に大きい結果となった。後傾位での回旋では,中間位での回旋と比較して,後方重心移動量,側方重心移動量とも有意に小さくなった。【結論】本研究により,骨盤の矢状面アライメントは胸郭・骨盤・脊柱回旋可動域および身体重心移動量に影響を与えることが示唆された。