著者
式部 義信 井澤 信三
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.271-282, 2009-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究では、断続的な不登校状態を呈したアスペルガー障害児の登校行動を促進・維持するための支援の効果について検討した。アセスメントの結果、断続的な不登校に陥った要因として学校場面に対する3つの負荷(「友達関係」「苦手な漢字」「学校行事」)が考えられた。そこで、支援は3つのステップ(「ステップ1:嫌悪的事態の除去・軽減」「ステップ2:3つの負荷に対する本人のスキルの向上」「ステップ3:登校行動の維持のために保護者を支援者にすること」)による段階的なアプローチを行った。支援内容としては、(1)保護者への行動論的カウンセリング、(2)対象児とその兄への社会的スキル訓練、が中心であった。その結果、登校行動を促進・維持することができた。また、本人の特性を理解し、家庭や学校との連携、さらに保護者が主体的な支援者として機能することが、登校行動を促進・維持する要因として重要であると考えられた。