著者
張 倩 曾我部 春香 森田 昌嗣
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.67, 2020

<p>本研究は、ショッピングモールにおける公共サービス施設(トイレ、ベビールーム、喫煙室など)のゾーン配置に着目し、アリオ亀有、イオンモール日の出、ららぽーと立川立飛のケース調査を通じて、動線と組み合わせた機能分布を分析する。サービス施設の設備の調査と定量分析の結果による、公共サービス施設ゾーンの類型を明らかにし、様々なユーザーを考慮した機能分散を検討する。以上のことから、本研究では、多様な利用者に配慮したサービス施設を整備するため、公共サービス施設の設計企画を提案する。</p>
著者
張 倩
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-61, 2017-03-25

「アニメ産業レポート2016」により、2015年のアニメ産業市場は1兆8253億円となり、前年比12.0%増となった。日本のアニメ・マンガ文化は日本国内でだけでなく海外にも高い関心が向けられている。インターネットの配信の活発と現代メディアの変遷により、アニメ・マンガ文化は更に広がっている。“現代日本を代表する文化”“日本に誇れる文化”などとよく言われる。日本のアニメ・マンガに代表される現代文化は、世界中に多くのファンがいる。世界中の人々が現代日本文化に興味を持っている。クールジャパンの一環として日本のサブカルチャーを支えている。池袋は、新宿や渋谷と並び、首都東京の乗降客数を分散を担う副都心であり、池袋駅を中心として、商業をはじめに、文化、教育、行政などの機能が集積している。1950年代から60年代初めにかけて、椎名町(現豊島区南長崎)に、手塚治虫をはじめ、マンガの新たな時代を切り拓いた巨匠たちが青春時代を過ごした木造2階建てアパート「トキワ荘」から始まったマンガ文化の源流は、現在のアニメ文化につながっていると言われている。2014年10月、東京都豊島区でクールジャパンを軸に新たな計画が持ち上がり、その計画とは,街中に文化や芸術の表現活動の場を設けて世界に発信することで、豊島区を「国際アート・カルチャー都市」計画が生まれた。近年、池袋を中心に、アニメ・マンガ関連施設が続々と集積している。アニメ・マンガ文化は「国際アート・カルチャー都市」の一環として、日本のアニメ・マンガ文化は池袋から日本だけでなく世界中に発信を目指している。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際に、多くの外国人観光客が、アニメ・マンガに期待を持って池袋を来訪する可能性がある。本研究の目的は、第一に、池袋アニメのまちとしての形成過程を整理し、第二に、豊島区池袋東ロエリアにおけるアニメ産業の立地とその変容を明らかにし、最後に、アニメ関連産業を広がりと共に生まれているアニメイベントの実施や商店街の連携状況について考察することだ。研究の方法は、文献調査によりアニメ関連領域のオタク文化と乙女文化の発展を説明する。そして、対象地域池袋アニメ関連産業の立地などにっいて地図を用いた比較を行い、特徴を明確する。また、インターネット上での情報からイベントの実施や商店街との連携を調査する。1983年、アニメグッズ専門店「アニメイト」本店池袋が東池袋に創立され、男性のオタクの聖地としての秋葉原と区別として、女性客をターゲットに2000年にリニューアルオープンした。その後同専門店「K-BOOKS」と「らしんばん」が相次いで出店した。女性オタクを対象にしたアニメグッズと同人誌を扱う店舗が密集し、認識度が高まり、池袋駅から徒歩8分、サンシャイン60の前の通りは、「乙女ロード」と呼ばれるようになった。2012年には、前述の「アニメイト」がより駅に近い場所に移転し、2013年2月1日~2日、豊島公会堂、豊島区民センターで「東京マンガ・アニメカーニバル』が開催され、アニメを使った地域振興、町おこしについてなどのディスカッションや展示などが行われると同時に、中池袋公園でコスプレイベントが開催された。アニメイト本店のリニューアル移転をきっかけとして、池袋東ロエリアでは、アニメ関連店舗が集積して、飲食・サービス業化が進んでいる。アニメの中心地は乙女ロードから「アニメイト」を中心として池袋東口全エリアに拡大している。2011年における池袋のアニメ関連産業分布を見ると、乙女ロードの周辺総合ショップ5店舗とカフェ飲食店2店舗であり、女性客をターゲットにした品揃え店舗が多く、カフェ飲食店やチェーン店は少ない。一方、2016年の現在アニメ関連産業の分布を見ると、比較的に駅から近いエリアにも、アニメ関連産業が拡大している。とくに、アニメ総合ショップチェーン店の増加がみられる。アニメ総合ショップとアニメカフェ飲食店が増えるだけではなく、ナムコが運営する屋内型テーマパークがリニューアルオープン、人気アニメとゲームなどコラボするようになる。2013年、集英社の週刊少年ジャンプに掲載のコミック・マンガ作品の世界をテーマとしたテーマパーク「J-WORLD TOKYO」がオープンし、さらに、動画サービス「ニコニコ本社」も池袋に移転し、アニメ関連コンテンツが充実してきている。このように、アニメ関連コンテンツ産業の展開とともに、アニメ関連イベントも多く開催されるようになる。イベントなどを開いて地域の集客力を高めるほか、池袋アニメの街の魅力を発信している。本研究より、池袋東ロエリアでは、アニメ関連産業店舗の増加とともに、関連するイベントの実施やアニメと商店街との連携がみられ、地域活性化に貢献していることが明らかとなった。近年、アニメ産業市場は著しく成長している。「アニメ産業レポート2016」より、2015年のアニメ産業市場は2002年以降で過去最高規模となっている。アニメ聖地巡礼は日本全国で展開している。この中で、アニメ情報の発信地として池袋は注目されており、さらなる地域活性化の可能性を秘めている。