著者
張 準浩
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

我々はLC/MS分析法でTetrodotoxin(TTX)類を定量してフグ中での分布を調べたところ、フグ卵巣では5,6,11-trideoxyTTXはTTXと同程度に多量に含まれることがわかった。そこで、この類縁体が段階的な還元反応を経てフグ体内でTTXへ変換するのかどうか、あるいはTTXが還元的な代謝をうけてtrideoxyTTXへ変換するのかどうかを調べることとTTXの起源生物の再検索を目的にした。(1)TTX生産起源生物の検索-北里大学山森との共同研究であり、鬼沢漁港から採集したプランクトンからTTX類が検出され、現在は実験結果の再現性を調べている。(2)ミドリフグとハチノジフグの毒性分・含量の分析-我々が確立したLC/MS法を用いて東南アジアに棲息するミドリフグの毒成分と含量を調べた。特に日本産のフグに多く含まれているTTX、5,6,11-trideoxyTTXがミドリフグにも多く含まれていて、その毒量はTTXが0.6~293.7nmol/g、5,6,11-trideoxyTTXが0.4~150.6nmol/gであった。(3)韓国産のクサフグの毒成分及び含量の分析-韓国産のクサフグにも日本産と同じようにTTX類が多く含まれていた。TTX,5,6,11-trideoxyTTX,6,11-dideoxyTTXが卵巣、皮膚、内臓に多量含まれていた。卵巣で、TTXが129~263nmol/g、5,6,11-trideoxyTTXが289~603nmol/gそして6,11-dideoxyTTXが77~310nmol/gであった。