著者
張替 泰子 松本 仲子
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.80-88, 2000
被引用文献数
1 1 1

20-30歳代女性の既婚者と未婚者の調理技能および栄養摂取に関する意識調査結果は, 次のように要約された.<BR>(1) 調理技能習得の機会とその効果については, 「家庭」での習得が最も効果的であったとする回答が48%と高く, 以下「料理本」, 「雑誌」, 「テレビ」と続き, それぞれ約10%を占めた. 一方, 「学校教育」は3%以下と低かった.<BR>調理技能習得に「新聞」, 「雑誌」, 「テレビ」などが有効であったとした回答を具体的に見ると, 雑誌では若年女性向け一般雑誌が23-39%と高率を占めていた. テレビでは, 短時間のうちに要点のみを要領よくまとめた番組があげられ30%と高い率であった.<BR>(2) 日常の調理において「切る」, 「剥く」に使用する調理器具を質問した結果は, 「切る」については包丁使用の割合が85%以上と高く, スライサーの使用は少なかった.「剥く」については皮剥き器を使用する人が63%を占め, スライサー-に比べ皮剥き器の使用が高く, 21-25歳において特にその傾向がみられた.<BR>(3) 日常よく食べられている料理約100品目については「本を見なくても作れる」割合は未婚者では35%であるが, 結婚1年は65%で, 未婚者と既婚者との間で大差がみられた. 未婚者が「本を見なくても作れる」とした料理には洋風料理が占める割合が高かった.<BR>(4)「1日に何をどれだけ食べればよいか」を知っているかについて質問した結果は, 「少しは知っている」が45%と多く, 知っていると意識している人の割合が70%を占めた. その知識の習得に最も効果があったとして一番目にあげたのは, 高校13%, テレビ12%, 家庭および雑誌10%, 中学校9%などで学校, 家庭, マスコミに分散した. また, 学習する効果的な時期については, 一番目が結婚前33%, 中学校, 高校19%, 小学校10.8%であり, また, 二番目にあげたものを含めると出産前が多く, 学校教育と家庭を構えて食事づくりの主体者となる時とに二分された.<BR>(5)「1日に何をどれだけ食べたらよいか」を高校の家庭科においていくつの食品群で学習したかの質問の結果は, 「覚えていない」が最も多く55%, 「6群」が32%, 「4群」「3群」がそれぞれ5%であった.<BR>(6)「1日に何をどれだけ食べたらよいか」どの程度理解しているかを知るために, 各食品群の量を変えて実際の料理で図示し, 適当と思われる分量を選択させた. 選択の基準は生活活動強度・中等度の成人女性と説明し, 回答してもらった.正答率が最も高いのは「卵」の91%で, 以下「ご飯・パン」72%, 「果物」59%, 「牛乳」52%, 「いも」44%, 「淡色野菜」37%, 「緑黄色野菜」28%, 「豆・豆製品」25%, 「肉・魚」11%, の順であった.「いも」「野菜類」「豆・豆製品」の必要量を知っている人は, 25-45%に止まった.「豆・豆製品」「緑黄色野菜」「いも」など一般に健康に良いと考えられているものは, 必要とされている量よりも多い量を選択する傾向がみられた.