著者
当目 雅代 上野 範子 木村 みさか
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.5_9-5_21, 1999-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
28

看護職における社会資源の認知度とそれらに及ぼす要因を検討することを目的として,病院勤務者を対象とした調査を行った。 そして,性,年齢の明らかな2,651名データから,1)認知度が高率だったのは,デイサービス・ショトステイ・高額療養費,傷病手当金制度で,低率だったのはライトハウス・更生医療・在宅介護支援センター・老人日常生活給付事業であった。2)勤務先に医療相談室のある者はない者に比べ,小児慢性特定疾患・ライトハウスの認知度が高率であった。 3)訪問看護制度のある者はない者に比べ,ホームヘルパー・デイサービス・ショートステイ・在宅介護支援センターの認知度が高率であった。 4)入院経験のある者はない者より高額療養費・補装具交付修理・身体障害者運賃割引制度の認知度が高率であった。 5)福祉体験・学習経験のある者はない者に比べ,すべての社会資源の認知度が高く,特に,ホームヘルパー・デイサービス・ショートステイ・在宅介護支援センターに関する認知度は50%を越えていた。 以上より,病院に勤務する看護職での社会資源の認知度は,福祉に関する体験や学習経験,あるいは家族を含む入院経験などの個人的要因に加え,勤務先での医療相談室や訪問看護制度の有無など,環境要因の影響を受けていることが示唆された。