著者
江川 新一 当間 宏樹 大東 弘明 奥坂 拓志 中尾 昭公 羽鳥 隆 真口 宏介 柳澤 昭夫 田中 雅夫
出版者
Japan Pancreas Society
雑誌
膵臓 = The Journal of Japan Pancreas Society (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.105-123, 2008-04-25
被引用文献数
22 46

目的:日本膵臓学会膵癌登録委員会の公表した膵癌登録報告2007のダイジェストとしてすでに公表された28655例のデータに基く解析を加え,主要な図と,新たな図,正誤表をつけて報告する.<br> 方法:構成を膵癌登録報告と同じくし,ページ数により示したデータから得られる解釈をなるべく客観的に解説した.統計解析は新たに加えた図も膵癌登録報告と同様に生命保険数理法とWilcoxon Gehan testを用い,既存のデータの統計結果はそのまま利用した.膵癌取り扱い(JPS)規約とUICC規約による生存率を主に比較した.<br> 結果:1980年代,1990年代と比較し,観察期間は短いが2001-2004年登録の膵癌の生存率は有意に改善した.膵管内腫瘍,粘液性嚢胞腫瘍,膵内分泌腫瘍の進展度分類でJPS規約のほうが良好な生存率予測を示した.膵管内腫瘍の深達度別生存率がはじめて示され,世界に類をみないデータである.<br>