著者
越村 俊一 江川 新一 久保 達彦 近藤 久禎 マス エリック 小林 広明 金谷 泰宏 太田 雄策 市川 学 柴崎 亮介 佐々木 宏之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2021-07-05

リアルタイムシミュレーション,センシングの融合による広域被害把握,被災地内外の人の移動と社会動態把握,医療需要および被災地の医療活動状況を入力としたマルチエージェントシミュレーションで構成する仮想世界でのwhat-ifの分析を通じて,物理世界となる被災地での災害医療チームの活動を支援するための「災害医療デジタルツイン」を構築する.災害医療の最前線で活動する研究者との協働を通じて,南海トラフ連続地震により連続して来襲する津波のリスク下において,医療システムの一部の機能が一定期間低下しても,被災地内外の災害医療の機能を速やかに回復できる医療レジリエンスの再構築を先導する.
著者
江川 新一 北村 洋 坂田 直昭 乙供 茂 阿部 永 赤田 昌紀 元井 冬彦 力山 敏樹 片寄 友 海野 倫明
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.466-472, 2009-05-01 (Released:2011-12-23)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

背景と目的:Frey手術は慢性膵炎に対して膵頭部芯抜きと膵管空腸側々吻合を行う侵襲が少なく疼痛改善効果の高い術式であるが,まれに再燃して再手術を要する.教室で行ったFrey手術後の長期経過中に慢性膵炎再燃に対して再手術を必要とした症例から適切な手術手技ならびに術後管理のあり方を考察する.対象と方法:1992年3月から2008年4月までの間に当科において慢性膵炎に対してFrey手術を施行した66例.術後早期合併症,再燃の形式と頻度,再手術までの時間,禁酒の有無,再手術手技を検討した.結果:術後早期の合併症発生率は10例(15.2%)で,1例は術後消化管出血のため再手術による止血を要した.術後在院日数中央値は19.5日であった.追跡対象62例(観察期間中央値45.5か月,追跡率83.9%)のうち慢性膵炎再燃による再手術は8例に施行され,1例に胆管十二指腸吻合,1例に膵頭十二指腸切除術が施行された.膵尾側の膵炎再燃・仮性嚢胞形成が最も多く,5例に膵尾部切除,1例に嚢胞空腸吻合が施行された.晩期の再手術例は特発性膵炎の1例を除き全例禁酒できない男性であり,再手術までの平均期間は約2年であった.膵尾部切除後に膵断端を空腸脚で被覆することが有効だった.考察:Frey手術後の再手術原因は膵尾部の炎症再燃が多く,飲酒と有意に相関する.炎症再燃を繰り返す場合は有効な再手術が必要である.
著者
江川 新一 当間 宏樹 大東 弘明 奥坂 拓志 中尾 昭公 羽鳥 隆 真口 宏介 柳澤 昭夫 田中 雅夫
出版者
Japan Pancreas Society
雑誌
膵臓 = The Journal of Japan Pancreas Society (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.105-123, 2008-04-25
被引用文献数
22 46

目的:日本膵臓学会膵癌登録委員会の公表した膵癌登録報告2007のダイジェストとしてすでに公表された28655例のデータに基く解析を加え,主要な図と,新たな図,正誤表をつけて報告する.<br> 方法:構成を膵癌登録報告と同じくし,ページ数により示したデータから得られる解釈をなるべく客観的に解説した.統計解析は新たに加えた図も膵癌登録報告と同様に生命保険数理法とWilcoxon Gehan testを用い,既存のデータの統計結果はそのまま利用した.膵癌取り扱い(JPS)規約とUICC規約による生存率を主に比較した.<br> 結果:1980年代,1990年代と比較し,観察期間は短いが2001-2004年登録の膵癌の生存率は有意に改善した.膵管内腫瘍,粘液性嚢胞腫瘍,膵内分泌腫瘍の進展度分類でJPS規約のほうが良好な生存率予測を示した.膵管内腫瘍の深達度別生存率がはじめて示され,世界に類をみないデータである.<br>