著者
田中 幸子
雑誌
膵臓 = The Journal of Japan Pancreas Society (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.573-578, 2004-12-28
参考文献数
18
被引用文献数
3
著者
北川 裕久 田島 秀浩 中川原 寿俊 牧野 勇 中沼 伸一 林 泰寛 高村 博之 二宮 致 伏田 幸夫 萱原 正都 太田 哲生
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 = The Journal of Japan Pancreas Society (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.178-184, 2013-04-25
参考文献数
13
被引用文献数
3

膵頭部癌の膵頭十二指腸切除術後消化吸収障害に対する,腸溶性高力価膵消化酵素剤パンクレリパーゼの有効性を,従来の膵消化酵素剤から本剤に切り替えた7症例で評価した.消化吸収障害は下痢の程度,体重の増減,日常生活の活動性,消化不良の症状を織り交ぜWong-Bakerのフェイススケールにあわせて,0から5までのGrade分類を新たに作成して評価した.1例で重度の下痢がみられ投与中止した.他の6例では腸溶性パンクレリパーゼへの変更によって,5例で体重増加がみられ,4例で止痢剤減量を要した.消化吸収障害Gradeは,体重増加のなかった症例,止痢剤減量ができなかった症例も含め6例全例で0または1にまで改善していた.膵頭部癌術後の消化吸収障害の改善に,腸溶性パンクレリパーゼの投与は,有用であることが示唆された.また,今回考案した臨床に即したGrade分類は,消化吸収障害の評価に有用であった.<br>
著者
諏訪 裕文 馬場 信雄 畦地 英全 雑賀 興慶 崎久保 守人 上村 良 大江 秀明 岩崎 稔 吉川 明 石上 俊一 田村 淳 小川 博暉 坂梨 四郎
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 = The Journal of Japan Pancreas Society (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.547-553, 2005-12-29
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

症例は62歳の男性. 膵頭部癌にて膵頭十二指腸切除術を施行した13カ月後, 胸部CTにて多発肺転移を指摘された. 塩酸ゲムシタビン1,000mg/m<sup>2</sup>の点滴静注を週1回行い, 3週投薬後1週休薬のスケジュールを1クールとして化学療法を開始した. 消化器症状や血液毒性がほとんど認められず, 第2クールからは外来通院で行うこととした. 第2クール後のCTで抗腫瘍効果はNCであり, 第3クールからはQOLの維持と長期投与を目的として塩酸ゲムシタビンの1回投与量を700mg/m<sup>2</sup>に減量した. 以後, 副作用なく癌性胸水の出現まで長期間NCを維持し, 外来にて14カ月間の継続治療が可能であった. 膵癌術後の肺転移再発の予後は極めて不良であるが, 本症例のように, ゲムシタビン治療により, 外来でQOLを維持しながら長期生存が可能な場合もある.
著者
江川 新一 当間 宏樹 大東 弘明 奥坂 拓志 中尾 昭公 羽鳥 隆 真口 宏介 柳澤 昭夫 田中 雅夫
出版者
Japan Pancreas Society
雑誌
膵臓 = The Journal of Japan Pancreas Society (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.105-123, 2008-04-25
被引用文献数
22 44

目的:日本膵臓学会膵癌登録委員会の公表した膵癌登録報告2007のダイジェストとしてすでに公表された28655例のデータに基く解析を加え,主要な図と,新たな図,正誤表をつけて報告する.<br> 方法:構成を膵癌登録報告と同じくし,ページ数により示したデータから得られる解釈をなるべく客観的に解説した.統計解析は新たに加えた図も膵癌登録報告と同様に生命保険数理法とWilcoxon Gehan testを用い,既存のデータの統計結果はそのまま利用した.膵癌取り扱い(JPS)規約とUICC規約による生存率を主に比較した.<br> 結果:1980年代,1990年代と比較し,観察期間は短いが2001-2004年登録の膵癌の生存率は有意に改善した.膵管内腫瘍,粘液性嚢胞腫瘍,膵内分泌腫瘍の進展度分類でJPS規約のほうが良好な生存率予測を示した.膵管内腫瘍の深達度別生存率がはじめて示され,世界に類をみないデータである.<br>