著者
影山 奈々美
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.435-446, 2022 (Released:2022-11-11)
参考文献数
31

本稿では、Michael Fieldingが提起した「ラディカルな同僚性(radical collegiality)」概念について、その形成文脈と思想的背景を辿ることでFieldingの議論の特徴を検討する。その際、教師と生徒の対等な関係性の主張に着目し、実践研究「研究者としての生徒(Students as Researchers)」との結びつき、Judith Littleの「同僚性」概念との民主性を軸にした新たな連関、そしてJohn Macmurrayの哲学に依拠したFieldingの議論の特徴を明らかにする。教師と生徒の権力問題への着手からは、学校や教育の意味に転換をもたらすことが示唆される。