著者
大西 貴弘 古屋 晶美 新井 沙倉 吉成 知也 後藤 慶一 工藤 由起子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.183-185, 2020-10-25 (Released:2020-10-30)
参考文献数
7

360の化学薬品をスクリーニングし,71の薬品が抗クドアセプテンプクタタ効果を有していることを明らかにした.71薬品のうち,19薬品が抗生物質,7薬品が抗菌剤・消毒剤であった.他の45薬品は農薬,自然毒,産業薬品および感染症以外に対する薬剤であった.抗クドア効果を有していた19の抗生物質はテトラサイクリン系,ステロイド系,マクロライド系,アミノグリコシド系,β-ラクタム系,キノロン系,リファマイシン系,ポリエン系,ノボビオシン系,スルファ剤,ニトロイミダゾール系に分類された.これらの薬品をクドア感染の予防に使用するためには,効果的な濃度を決定するための研究がさらに必要である.
著者
後藤 慶一 廣瀬 昭博 折笠 旦継 佐藤 瑛吏 尾入 且基 久保田 かおり 井上 瑠奈 中山 素一
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.200-205, 2020-10-25 (Released:2020-10-30)
参考文献数
13

開栓したペットボトル入り清涼飲料水中における微生物の増殖挙動を評価するため,各種微生物の標準菌株を用いて接種試験を行った.約1.0×104cfuの微生物を250mLの各種清涼飲料を入れた500mLのペットボトルに接種し,4 °C・静置,25 °C・静置,35 °C・静置および35 °C・振とうの条件で1週間培養した.経時的に菌数測定を行い,先行研究「清涼飲料水中の汚染原因物質に関する研究」2)~4)の結果と比較した.その結果,トマトジュースとLactobacillus fermentum,スポーツドリンクとCandida albicans,およびミネラルウォーターとKlebsiella pneumoniaeの組み合わせは,分離株を用いて評価した先行研究と類似した増殖性が観察された.しかしながら,緑茶,混合茶,オレンジジュースおよびミルク入りコーヒーでは,標準菌株の増殖性は弱い傾向で,これは,清涼飲料水中に含まれている成分によって微生物の増殖が阻害されたと推察された.以上の結果から,標準菌株と腐敗物からの分離株では増殖性が異なることがあり,安全性評価をするうえでは注意を要することが明らかとなった.
著者
渡辺 麻衣子 加藤 裕子 戸上 敬子 山中 実喜子 若林 佳子 小川 裕由 稙田 裕子 後藤 慶一 工藤 由起子 天野 典英 横田 明
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.82-87, 2008-04-30 (Released:2008-05-26)
参考文献数
18
被引用文献数
4 3

Byssochlamys spp. について,簡便,迅速かつ正確に種を同定するために有効な遺伝子指標を評価する目的で,26株のByssochlamys spp. および関連菌種の18S rDNA, 26/28S rRNA遺伝子D2領域およびlys2 の塩基配列を決定し,分子系統解析および相同性解析を行った.その結果,いずれの遺伝子を用いても,その塩基配列の相同性を指標として,それぞれの菌種あるいはグループを識別することができた.3種類の遺伝子のうち,最も優れた解像度を有するのはlys2 であったが,最も簡便に結果を得ることができたのは26/28S rDNA D2領域であった.また,分子系統解析の結果,Byssochlamys spp. とその関連菌種は再分類の必要性があることが示唆された.