- 著者
-
後藤 由佳
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.1, pp.1-12, 2014-03-30 (Released:2014-07-16)
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
-
1
英単語のclimbは手足を使って自力で登ることを意味するが, 日本語訳の「のぼる」にはそのような限定はない。本研究は大学生を対象として, 英単語のこのような意味範囲の理解を扱った。実験1ではまずテスト群の大学生(n=44)のデータから, 基本動詞climb, memorize, borrow, teach, put onの意味範囲の理解が不十分であることを示し, 次に, 辞書の「語法」の記述を読む辞書群(n=101)では意味範囲の把握がある程度促進されることを示した。実験2では, 誤文指摘練習をする練習群(n=39), 意味範囲を間違って使用し現実にはあり得ないような意味になるエピソードを読むエピソード群(n=45)を設定し, 実験1の辞書群と比較して効果を検討した。その結果, 練習群とエピソード群では事後テストの正答率は約90%となり, 実験1の辞書群の75%を上回った。またエピソード群では学習者の動機づけも高めることができた。さらに, 英単語の学習方略と教授・学習方法の組み合わせによって動機づけに交互作用(ATI)が生じることが示唆された。