著者
後藤 英次 宮森 康雄 長谷川 進 稲津 脩
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.191-201, 2004-04-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
41
被引用文献数
11

本試験は北海道立上川農業試験場の細粒褐色低地土水田を用いて,大幅なメタンの発生軽減を目標に稲わらの混和時期と窒素肥料および分解促進資材の添加,水管理(間断灌漑)の有待欧とそれらの組み合わせ効果を検討した.1)稲わらの分解は5℃の低温条件下でも進行し,この温度条件では窒素肥料および微生物由来の有機物分解促進資材の示加により一層分解が促進された.2)8cm程度の浅耕しによる稲わらの秋混和は春混和(秋散布後,地表面に放置)と比較して冬期間の分解が進み,これに窒素肥料および微生物由来の有機物分解促進資材を稲わら秋散布時に添加することでさらに促進された.また,稲わら秋混和は農家慣行に多く見られる稲わら春混和と比較して水田からのメタン発生量を軽減し,窒素肥料および分解促進資材を稲わら秋散布時に添加することでさらに軽減された.3)幼穂形成期前および出穂後の間断灌漑処理は,メタンの発生量を軽減し,中干し処理に近い効果であった.特に幼穂形成期前の間断灌漑処理では,作土の水分がpF 1.8以上になることで効果が高かった.4)稲わらの分解促進処理と水管理の組み合わせ「稲わらの秋混和+窒素肥料と分解促進資材の示加+強程度の間断灌漑」処理は,対照とした稲わらの「稲わら春混和+連続湛水」処理に比べてメタンの発生量を顕著に軽減することができた.