著者
萩谷 功一 安宅 倭 河原 孝吉 後藤 裕作 鈴木 三義 白井 達夫 渥美 正
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.345-351, 2004 (Released:2006-07-26)
参考文献数
17
被引用文献数
8 8

ホルスタイン種における月1回の検定記録から乳期全体の記録を予測する方法について比較検討した.データは,1990年から2002年までに独立行政法人家畜改良センターの4つの牧場で飼養されたホルスタイン種における771個体からの232,337の初産次の乳量における検定日記録である.乳期あたりの乳量は,分直後から分後305日までの乳量(以下,305日乳量)の合計とした.分析では,検定日間隔(Test Interval ; 以下,TI)法,最良予測(Best Prediction ; 以下,BP)法および多形質予測(Multiple Trait Prediction ; 以下,MTP)法からの推定値と真の305日乳量を比較検討した.MTP法における泌乳曲線の説明には,WoodまたはWilminkのモデルを採用した.TI法およびBP法を比較した場合,泌乳初期から中期の検定日記録に対してBP法が優れており,泌乳末期の検定日記録に対してTI法が適していた. MTP法は,Wilminkのモデルを採用した場合に,Woodのモデルを採用した場合よりも乳期全体において推定精度が高かった.Wilminkのモデルを採用したMTP法の推定精度は,泌乳初期から中期にかけてBP法と同程度であり,泌乳末期で他との比較において真の値にもっとも近似した.このことより,Wilminkのモデルを採用したMTP法は,乳期全体を通じて優れた推定法であることが示唆された.