- 著者
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後藤 麻希
川崎 桂
遠藤 正英
甲斐 健児
薛 克良
服部 文忠
- 出版者
- 九州理学療法士・作業療法士合同学会
- 雑誌
- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
- 巻号頁・発行日
- vol.2011, pp.174, 2011
【はじめに】<BR> 近年Wii(任天堂社製)を用いたリハビリテーションが注目され検証されている。しかし、集団への影響について検証されているものは少ない。そこで今回、当院の通所リハビリテーション(以下通所リハ)の集団訓練にWiiを導入し、身体機能と出席率に着目して検証したので報告する。<BR>【対象・方法】<BR> 調査期間はX年9月~X年12月、対象はその間、当院通所リハを3ヶ月間継続利用した要支援35名とした。そのうち、Wiiを使用した集団訓練への参加を希望した群(以下ゲーム群)21名(男性:7 女性:14名、平均年齢:73.47±9.6歳)、希望しなかった群(以下非ゲーム群)14名(男性:8 女性:6名、平均年齢:71.78±11.5歳)。Wiiを使用した集団訓練は、プロジェクターを使用し、スクリーンに映し、30分間実施した。Wii 太鼓の達人(バンダイナムコゲームス・ナムコ社製)とWiiスポーツリゾート(居合い斬り・ボウリング)(任天堂社製)のソフトを順に2週間ずつ変更し行った。出席率(%)はWiiを実施した各月の当院通所リハの出席率(利用回数/予定利用回数×100)を調査し、身体機能の検証は実施前、後に握力、膝伸展筋力(ミュータスMA1(アニマ社製)を用いて端坐位にて膝関節90度屈曲位での最大等尺性膝伸展筋力を測定)、10m歩行(時間・歩数)、6分間歩行距離(以下6MD)、ファンクショナルリーチテスト(以下FRT)、Timed up and go Test、長坐位体前屈を行い統計学的分析にt検定を用いた。なお、本研究は被験者に目的、手順を説明し同意を得た。<BR>【結果】<BR> 出席率はゲーム群で実施1ヶ月目:80.45%、2ヶ月目:91.14%、3ヶ月目:88.76%、非ゲーム群は1ヶ月目:75.28%、2ヶ月目:72.34%、3ヶ月目:66.67%であった。身体機能は集団訓練実施前、後において、非ゲーム群のFRTで有意な低下を認めた(p<0.05)。その他の項目では有意差が認められなかったが、ゲーム群では6MD、FRT以外の全ての項目で平均値が向上傾向にあり、非ゲーム群では全ての項目で平均値が低下傾向にあった。<BR>【考察】<BR> 今回の結果より、Wiiを集団で実施した場合、出席率・身体機能の向上へ効果がある事が示唆された。ゲーム群で出席率が向上傾向にあったのは、ひとつに内発的動機付けとしてWii自体の楽しさがある。あわせて、集団で行う事により、他者との交友関係の深まりの中で外発的動機付けが促され、出席率向上へと影響した事が考えられる。また、ゲーム群で身体機能が向上傾向にあったのは、Wii使用による直接的な運動量の増加と出席率向上による運動量の向上が影響した事が考えられる。Wiiは運動への動機付けを促す手段の一つとなりえ、更に集団で行う事により内発的動機付けと外発的動機付を誘発する事が期待できる。