著者
後野 昭次
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

〇研究目的:豊田高専・機械工学科の学生に対しては、様々な場面で、設計・製図・工作を行う機会がある。しかし、設計初心者である学生が設計・製図を行なう場合、寸法の記入方法に間違いが多い。なぜなら、設計初心者の学生にとって、工作・組立・測定経験が少ないため、どのような寸法記入を行えば、工作者・組立者・測定者にとって適切な寸法記入になるか実感が持てないからである。そこで、あえて間違った寸法記入の図面により製作した部品の組立・測定がスムーズにいかないことを体験させると同時に、正しい寸法記入の図面により製作した部品の組立・測定がスムーズに行えることを体験させることで、正しい寸法記入方法を理解させるための教材開発を行った。〇研究方法:主にこの教材は、機能上必要な寸法の記入方法がわかる教材を製作した。教材は、平行ピン2本と平行ピンがはまるアルミ製の部品2~3個で構成されて、寸法を記入した場所によって、組立ができたり、組立ができないものである。それは、平行ピン間に寸法が入っているものであったり、端面から平行ピンまでに寸法が入っているものなどで、計3種類製作した。〇研究成果:この教材を学生に試してもらったところ、正しい寸法記入が理解できたと答えた学生が多く、この教材の有効性が確かめられた。この教材により、机上の設計製図の学習だけでなく、実物で実感できるようにすることにより、学年が進んで、卒業研究のための部品製作のための設計製図において、適当に寸法を記入するのではなく、考えられた図面が描かれることが期待できる。