著者
坂井 充 八板 昭仁 北田 豊治 得居 雅人 船津 京太郎 泉川 貴子 宮田 睦美
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.61-69, 2003

バレーボールにおけるリベロ制度は、国内では1998年度の大会から国際ルールで正式決定される前年から導入されており、試合では各チーム1名のリベロプレイヤーの登録が許されている。箕輪らは、リベロ制の導入によりゲームにおけるレシーブの返球結果が向上しており、リベロは、特にラリー中のレシーブに関してゲームへの貢献度が高いと述べている。そこでリベロ制導入というルール改正の目的が「ラリーの継続によりバレーボールゲームにおける本来の面白さを引き出す」であることに注目し、ラリーの継続とリベロのレシーブの直接的な関わりについて調査することとした。本研究では、ラリー中におけるリベロのレシーブをパターン別に記録し、ラリー継続回数との関連を調査することによって今後のバレーボール指導に関する資料を得ることを目的とする。調査対象は、女子大学生の九州トップレベルのチームであり、それらの中からラリー中におけるリベロのレシーブと1回のサーブにおけるラリー継続回数について記録・集計した。その結果、ラリーの継続回数とリベロのレシーブ率には相関があり、SPRでは正の相関、MRでは負の相関が認められた。相手の攻撃をレシーブするSPRにおいてラリー継続が長くなるとリベロのレシーブする確率が高くなり、相手の攻撃をレシーブミスで終わったMRにおいて、ラリー継続が長くなるとリベロのレシーブミスする確率が低くなることは、リベロのレシーブがラリー継続に大きな影響を与えているということができるであろう。また、リベロが相手チームの1回目の攻撃をレシーブすることによって、2回目以降の攻撃に対するレシーブ率は有意に高くなり、レシーブミスの割合も1回目と比較して2回目以降は有意に低くなることが認められた。したがって、1回目の攻撃をレシーブすることが、そのラリーの継続に大きく関わっているということが認められた。